研究課題/領域番号 |
20K17342
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
西田 真紀子 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 特任講師 (10736797)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 悪性黒色腫 |
研究実績の概要 |
本研究課題の進捗状況は概ね良好であり、令和2年度に予定していた1.NUAK2とPTENの遺伝子異常と癌幹細胞形質の検討、2.Dct-NUAK2 KIマウスによる色素幹細胞増数についての検討の2計画分を大部分達成できている。 1.以前の研究成果から、NUAK2をノックダウンした悪性黒色腫細胞をマイクロアレイを用いて網羅的遺伝子発現解析を施行しmTOR遺伝子群が強い有意差(P<0.0001)にて変動することが分かっている。また個々のタンパクレベルでの遺伝子発現解析においてもmTORにより制御されるS6Kのリン酸化がNUAK2のノックダウンにて減少する結果を得ている。今回は細胞実験にて各種悪性黒色腫細胞株を用いることでNUAK2とPTENの遺伝子異常により、どの程度MYCとPCG-1aが変動し癌幹細胞形質を制御する他の遺伝子との関連があるかなどの検討を進めることができた。 2.すでにメラニン生合成に枢要な遺伝子であるDctのプロモータ下にNUAK2を挿入し、CRISPR/CAS9のシステムを用いてトランスジェニックマウス(Dct-NUAK2 KIマウス)を作製しており色素細胞にNUAK2を強制発現させたマウスの作製に成功している。今回の検討において、このDct-NUAK2 KIマウスの毛包の側方に隆起したバルジと呼ばれる部位に存在する色素幹細胞の増数をカウント。コントロール(WTマウス)と比較しNUAK2を色素細胞に発現させたマウス(Dct-NUAK2 KIマウス)では色素幹細胞数が有意に増数していることを確認できた。また真皮内での色素細胞系列の細胞の増数を確認している。これらの結果により細胞実験によるNUAK2のノックダウンだけでなく動物実験におけるNUAK2の強制発現からもNUAK2の色素細胞増殖に与える影響につき検討できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に令和2年度に達成する予定であった、1.NUAK2とPTENの遺伝子異常と癌幹細胞形質の検討、2.Dct-NUAK2 KIマウスによる色素幹細胞増数についての検討の2計画がほぼ予定通りに終了してきているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後も予定通りに当初の計画に準じて進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
主に経費を必要としない試薬を中心に細胞実験による解析を中心に行ったため次年度使用額を生じた。これからは経費を必要とする動物実験を中心とした解析となる予定であり研究費を想定通りに使用する予定である。
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