本研究はアトピー性皮膚炎患者から得た細胞を用いて3Dスキンモデルを作製し、最適な治療法を検討することを目的とした。iPS細胞由来の表皮細胞を用いた3Dスキンモデルの作製とともにiPS細胞を介さずに表皮細胞、線維芽細胞を使用して3Dスキンモデルを作製することも並行して行った。さらに3Dスキンモデルに使用する培養的の最適な条件検討を行った。 iPS細胞を介さず表皮細胞、線維芽細胞を用いた3Dスキンモデルの検討においては、健常人と比し、アトピー性皮膚炎患者検体において表皮の肥厚がみられ、病勢を反映することが出来た。一方で、同検体、同条件で作製した3Dスキンモデルではあるが、表皮の肥厚の程度は一定しておらず、ほぼ正常と変わらない程度の時もあったことから現状では更なる条件検討が必要である。 3Dスキンモデル作製時の培養液に関しては、様々な培養液および添加物を試すことにより、最適な条件を見極めることが出来たと考えている。 また、iPS細胞由来の表皮細胞を用いた3Dスキンモデルの作製に関しては、アトピー性皮膚炎患者検体においては健常人検体と比し、増殖効率が悪く現時点で治療法の評価を行うことは難しいと考えている。本研究終了後も引き続き本研究課題に関しては検討を行っていくが、iPS細胞を使用せずに患者由来の表皮細胞、線維芽細胞を用いた3Dスキンモデルを使用する。一方、細胞数確保という問題はあるため、一定した表皮の肥厚が再現できるよう条件検討を行っていく。
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