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2020 年度 実施状況報告書

皮膚弾力に着目した新しいリンパ浮腫治療戦略の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K17347
研究機関浜松医科大学

研究代表者

横山 由里奈  浜松医科大学, 医学部附属病院, 理学療法士 (30645875)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2022-03-31
キーワードリンパ浮腫 / 皮膚弾力 / 複合的理学療法 / エイコサペンタエン酸
研究実績の概要

本研究は、皮膚弾力改善効果に着目し、理学療法と薬物治療を併用した新しいリンパ浮腫の治療戦略を確立することである。そのためには、まずリンパ浮腫における皮膚弾力低下の病態を解明する必要がある。本年度は、ラットモデルを用いた病態解明についての基礎実験を行った。
12週齢オスSprague-Dawleyラットの下肢を用いてリンパ浮腫モデルを作成した。リンパ浮腫群と、同週齢のコントロール群において、術後6か月まで、水置換法による下肢体積測定、皮膚弾力計による皮膚弾力測定、蛍光リンパ管造影による皮下リンパ液観察を経時的に行う。さらに大腿部の皮膚を採取し、EVG染色(弾性線維の評価)、real time PCR解析(TGF-B1、MMP-2,MMP-9)を行った。リンパ浮腫モデルでは、下肢体積増加、皮下リンパ液貯留を認めた。また組織学的検討では、皮膚組織中のエラスチン減少を認めた。さらに、皮膚組織中のTGF-B1、MMP-2,MMP-9のmRNA発現の増加を認めた。以上から、リンパ浮腫モデルの慢性期では、弾性線維の分解作用のあるMMP-2、MMP-9の増加により、皮膚組織中の弾性線維が減少した可能性が考えられた。また、MMPファミリーが増加した機序には、皮膚筋線維芽細胞やTGF-B1が関与している可能性が考えられた。
皮膚弾力計による検証では、リンパ浮腫群とコントロール群の間に有意な差を認めなかった。皮膚弾力計はヒトリンパ浮腫の皮膚評価には有用であることを以前に報告したが(Lymphat Res Biol. 2020 Feb;18(1):7-15.)、ラット皮膚では、ヒトに比べ皮膚が薄いことが原因と考えられた。
以上をまとめ、英文雑誌への投稿を準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

ラットモデルを用いた、リンパ浮腫皮膚の弾性線維についての基礎実験は順調に進んでいる。薬物投与による弾性繊維への治療効果の検証については、やや遅れている。

今後の研究の推進方策

これまでに得られた結果をまとめ、英文雑誌への投稿を準備中である。今後は、薬物投与による皮膚弾力改善効果について、ラットを用いた基礎実験を進めていく。
さらに、ヒトリンパ浮腫症例での臨床試験の準備を平行して進める。

次年度使用額が生じた理由

ヒト臨床研究への準備が遅れたため、倫理委員会での審査料を次年度に繰り越す必要があった。
ラット基礎実験について、薬物の治療効果の検証が遅れた。COVID-19の影響により、入手困難な機材、薬剤等があり、次年度に繰り越す必要があった。

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公開日: 2021-12-27  

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