研究実績の概要 |
本研究では、予後不良な全身症状を認めるsHVと予後良好で皮膚のみのcHVの血漿中のMIGを測定した結果、sHVとcHVでは血漿中のMIGは明らかな有意差を認めた。またROC曲線でsHVとcHVの血漿中のMIGを検討した結果、MIG:152.1 pg/mlで感度特異度ともに88.9%と87.5%で高値を認めた。さらに血漿中のMIGと血液検査の値を比較検討した結果、IFNγとCRPでそれぞれ相関を認めた(r=0.92, 0.95)。一方血球や血漿中のEBV量とは相関を認めなかった。以上の結果からMIGはsHVとcHVを客観的に鑑別するマーカーでありかつ全身の炎症を反映していると考えた。 今回の検討で得たMIG:152.1 pg/mlをカットオフ値と考えて、cHVからsHVに移行した患者を検討した場合、経過中8/10でカットオフ値より高値を認め、またsHVの患者では、経過中常にカットオフ値を超えていた。一方cHV2例では、経過中の3地点でそれぞれ検討した結果、両者ともに2/3でカットオフ値以下の状態であった。以上の結果よりMIGのカットオフ値の数値に関しては、今後の検討が必要であると考える。さらにMIGの皮膚での発現部位を検討するため免疫染色を行った結果、cHVではMIGは発現を認めていないが、sHVの皮膚病変部で発現を認めていた。またMIGのligandであるCXCR3陽性細胞もMIGが発現した皮膚病変部の周囲に認めていた。EBV陽性細胞からはIFNγが発現することが以前から報告されており、本検討を踏まえて、sHVではEBV陽性細胞が皮膚に浸潤し、IFNγが発現することで、MIGが発現し、CXCR3陽性細胞を呼び寄せることでsHVの病変を形成していることを考えた。現在γδT細胞によるEBV陽性B細胞への細胞障害実験を行っており、in vitroでは細胞障害反応を認めていた。
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