同種造血細胞移植後の重要な合併症として慢性GVHDがある。慢性GVHDの病理学的な特徴として臓器線維化があり、移植後の皮膚や涙腺、唾液腺においてHSP47が 高発現していることを我々は確認しており、慢性GVHDのバイオマーカーとして血清HSP47が有用となるかを確認するために実験を行った。まず皮膚を代表とした 広範な線維化を発症する慢性GVHDマウスモデルを用いて実験を行った。移植後28日目の血清を採取しHSP47をELISA kitを用いて測定したところ、allogeneic群、 syngeneic群ともにHSP47は感度以下で測定できなかった。そこでその際のマウス皮膚を病理検体としてmasson trichrome染色を行い線維化が発症しているかを確認したが、allogeneic群で問題なく皮膚線維化を発症していた。また、蛍光免疫染色も行ってHSP47を発現する細胞が増加しているかどうかを確認したが、皮 膚、唾液腺、涙腺のいずれにおいてもHSP47陽性細胞が線維化部位に一致して増加していることを確認した。今回使用したELISA kitはブレオマイシンを用いた皮膚線維化モデルで血清HSP47を検出しており、今回の移植モデルにも使用した。しかし今回の実験では血清HSP47を検出することができなかったため、他のELISA kitを2種類使用して再検討を行なったが検出感度以下であった。他のマウス移植モデルでの血清HSP47測定も行なったが検出できず、現在は測定系を再検討している段階である。
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