研究実績の概要 |
2020年度より施行していた、ドナーマウス骨髄単核球をGM-CSF及びM-CSF添加培地で培養することで作成したM1及びM2マクロファージを、RT(Reverse Transcription)-PCR及びフローサイトメーターにて評価した。誘導した細胞はまた、CD11+F4/80+細胞をマクロファージとして評価し、サブタイプ解析として、M1(CD38,iNOS,IL-6,TNFα)及びM2 (CD206,Arg1,Fizz1)マクロファージマーカーの発現有無を評価した。 次に、 M2マクロファージの抗GVHD効果を、ドナーマウスT細胞とレシピエントマウスリンパ球の混合リンパ球反応(MLR)で評価し、T細胞とM2マクロファージが cell-to-cell contactで機能するのか、もしくは、M2マクロファージが分泌する抗炎症性サイトカインによる液性因子により機能するのかを調べるために、直接接触させて反応させる群と、Trans-wellを用いて共培養させる群に分けて観察した。 最後に、in vivoでM2 macrophageの抗GVHD効果を証明するために、GVHDコントロールマウスに対して、ドナー骨髄細胞より誘導したM1, M2 macrophageをそれぞれ投与することで、出現するGVHDの重症度ならびに生存率を評価した。GVHDの重症度については、clinical scoreや生存率のみでなく、実際に皮膚・消化管・肝臓の組織にてGVHD scoringをすることで評価した。加えて、各臓器に存在しているM2 macrophageが実際に投与したmacrophageなのか、組織存在していた常在型macrophageなのかを調べるために、GFP-C57BL/6 マウスから誘導したM2 macrophageを投与することで、組織での存在を確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
in vitroにおいて、M1 macrophage,M2 macrophageはそれぞれM1macropohage marker,M2 macrophage markerを発現していることを、FCM, RT-PCRにて確認し、誘導に問題がないことを確認した。また、MLRにてT細胞とM2マクロファージが cell-to-cell contactにて作用し、ドナー骨髄細胞由来のM2 macrophageがrecipientT細胞の増殖を抑制していることを証明した。in vivoでは、ドナーM2 macropohageを投与することにより、GVHDの重症化が抑制され、生存率が改善することを証明し、実際に標的臓器でも特に肝臓にてGVHD重症化が抑制されていることを証明した。GFPmouse由来の骨髄細胞を使用することで、投与したドナー骨髄由来のM2 macrophageが実際に標的臓器まで到達し、GVHD改善に寄与していることを証明した。
|