研究課題/領域番号 |
20K17384
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
西 由希子 琉球大学, 病院, 助教 (60793924)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脂肪組織由来間葉系幹細胞 / GVHD |
研究実績の概要 |
細胞間伝達物質としてのエクソソームの役割と病態的意義が注目されており、疾病治療への応用が期待されている。特定のエクソソームを標的臓器へ特異的に送達出来れば治療効果を最大限に高めることができる。我々は、同種造血幹細胞移植の合併症である移植片対宿主病(GVHD; graft versus host disease) の治療・予防として脂肪組織由来間葉系幹細胞(AD-MSC; adipose tissue-derived mesenchymal stem cell)の有効性をマウス病態モデルで検証し、特に骨髄GVHDに対する優れた効果を報告したが、その機序にエクソソームが関わる可能性が強く想定される。このような背景を踏まえ、本研究では骨髄GVHDに対するAD-MSC由来エクソソームの有効性に関わる分子群をマウス病態モデルを用いて同定し、骨髄への送達に優れたエクソソームを開発することを目的としている。本年度はAD-MSC由来のエクソソーム単離およびGVHDモデルマウスのAD-MSC投与時の抗体産生能について検証した。GVHDモデルマウスにNP-CGGを免役し、抗体産生を評価したところ、骨髄GVHDを発症したマウスでは抗体産生が著しく低下した一方で、AD-MSCを投与したGVHDモデルマウスでは抗体価の上昇を認めた。骨髄GVHDが免疫能に与える影響及びAD-MSCによる免疫機能の改善を認めた。臨床において、同種造血幹細胞移植後GVHDの患者では、GVHD治療による免疫抑制のみならず、GVHDそのものによる免疫不全を呈している可能性が強く示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
AD-MSC培養条件によりエクソソームの多様性が予測され、培養条件の設定が困難であり時間を要している。また、臨床に即したモデルとして、抗腫瘍薬であるブスルファンとシクロホスファミドを移植前処置に用いたGVHDモデル (Int J Exp Pathol 2011:6;596-605) に対してAD-MSCエクソソームを投与し、有効性と安全性を評価する予定であったが、抗腫瘍薬による毒性が大きく、報告にあるようなモデルマウスが作製できていない。コロナ禍で研究者の就業制限などもあり、進捗はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
炎症環境を模倣した環境でAD-MSC培養を行い、エクソソームを単離する予定である。作成したGVHDマウスモデルに、分離したAD-MSC由来エクソソームを尾静脈から静脈注射し急性GVHDの抑制能、特に骨髄GVHDに対する有効性と安全性を評価する。また、臨床に即したモデルとして、抗腫瘍薬であるブスルファンとシクロホスファミドを移植前処置に用いたGVHDモデルに対してAD-MSCエクソソームを投与し、有効性と安全性を評価する予定である。抗腫瘍薬の投与量は更に検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で勤務制限がかかり、予定通りの研究遂行が困難であったため。今年度マウスの購入費やエクソソーム抽出試薬の購入費に充てる予定である。
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