当院で同種造血細胞移植治療を行った症例を対象に、移植時の予後因子を説明変数として、生存解析機械学習モデルであるRandom Survial Forestと従来生存解析モデルとして用いられてきたCox比例ハザードモデルの予測精度の比較を行い、R患者個別の予後予測が可能なWebアプリケーションを公開した。このアプリケーションにより、同種造血幹細胞移植患者の意思決定支援に役立てることが可能となった。本結果は、英文雑誌に報告した。 次に造血幹細胞移植の全国患者レジストリデータを用いて、Random Survial ForestとDeepSurvによる患者個別の生存予測を行う機械学習モデルを構築し、さらにこれらの機械学習モデルが患者個別の最適移植法を推奨するアルゴリズムを開発した。その上で、機械学習モデルによる患者個別の最適移植法推奨が、移植予後に与える影響について検討した結果、機械学習モデルの推奨移植法と実際に施行した移植法が一致していることが、全生存に対する有意な予後良好因子であることが示された。このことから、機械学習モデルによる移植法の推奨には、移植予後を改善させる可能性があると考えれた。 これらの成果については、第48回欧州骨髄移植学会議、第44回日本造血・免疫細胞療法学会総会にて報告し、査読付き医学論文雑誌に投稿中である。また、本研究で得られた知見について、特許出願を行った。 さらに、移植専門医から各移植患者に対する予後予測値のアンケート収集を行い、移植専門医の予後予測と機械学習モデルによる予後予測の予測精度を比較するためのデータ収集・解析を行った。
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