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2020 年度 実施状況報告書

IFNαシグナル伝達および腎病変の形成機構に着目した骨髄増殖性腫瘍の病態制御

研究課題

研究課題/領域番号 20K17404
研究機関宮崎大学

研究代表者

田平 優貴  宮崎大学, 医学部, 医員 (10868243)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード骨髄増殖性腫瘍 / インターフェロン / シグナル伝達 / fibrocyte
研究実績の概要

テーマ1: IFNαの抗腫瘍作用を担うJAKの同定と新規IFNα/JAK阻害薬併用療法の開発
IFNαはTyk2、JAK1を含むJAK-STAT系を介して、抗腫瘍効果を発揮すると考えられている。2020年度は主にTyk2に関する機能解析を行った。Jak2V617F-TGマウス、Jak2V617F-TG/Tyk2KO二重変異マウスに対してIFNαを投与し、血球や骨髄・脾臓における造血幹細胞への影響を評価した。Jak2V617F-TGマウスでは、IFNα投与後に血球減少がみられ、骨髄における長期造血幹細胞の減少、多能性造血前駆細胞の増加がみられた。一方で、Jak2V617F-TG/Tyk2KO二重変異マウスでは血球減少や前述のような造血幹細胞の増減は見られなかった。以上からTyk2の欠損によって、IFNαの有する細胞増殖抑制や造血幹細胞に作用して腫瘍幹細胞を枯渇させるといった作用が消失することが確認できた。Jak1については、外部施設よりJAK1cKOマウスを導入した。今後Jak2V617F-TG/JAK1KO二重変異マウスを作出し、解析を進める予定である。

テーマ2:MPN腎病変における血球由来間質支持細胞の同定と分化メカニズムの解明
EGFPで変異細胞をマーキングされたJak2V617F/EGFP-TGマウスを作成し、WTマウスに骨髄を移植した。移植後6か月が経過したため、今後変異細胞が腎臓にどのような病変を形成しているか解析を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

テーマ1: IFNαの抗腫腫瘍作用を担うJAKの同定と新規IFNα/JAK阻害薬併用療法の開発
IFNαの下流に位置するTyk2、JAK1のうち、まずTyk2に関する機能解析を開始した。Jak2V617F-TGマウスとJak2V617F-TG/Tyk2KO二重変異マウスにIFNαを投与し、Tyk2の欠損によってIFNαの作用が消失することを確認した。詳細な機序について、コロニーアッセイを用いたin vitroでの追加解析を行っている。Jak1については、外部施設よりJAK1cKOマウスを導入した。現在交配を進めており、今後Tyk2と同様に2重変異マウスを作出し、解析を進める予定である。

テーマ2:MPN腎病変における血球由来間質支持細胞の同定と分化メカニズムの解明
予備実験を行い、マウスMPN腎症の発症に半年程度の期間が必要であることを確認した。EGFPで変異細胞をマーキングされたJak2V617F/EGFP-TGマウスからWTマウスに骨髄を移植し、移植後6か月が経過した。今後、腎臓にどのような病変がみられるか解析を進める。

今後の研究の推進方策

テーマ1: IFNαの抗腫腫瘍作用を担うJAKの同定と新規IFNα/JAK阻害薬併用療法の開発
2021年度中にJAK1cKOマウスを使用し、IFNαの作用におけるJAK1欠損の影響を明らかにする。Tyk2とJAK1いずれが責任JAKであるかを踏まえたうえで、IFNαと様々なプロファイルをもつJAK阻害薬の併用を行う。併用による治療効果とJAK阻害のプロファイルに相関があるか検証し、IFNαと拮抗しないJAK阻害薬の開発といった発展的課題につなげていく。

テーマ2:MPN腎病変における血球由来間質支持細胞の同定と分化メカニズムの解明
マウスにおいてMPN腎症のモデルを確立し、メサンギウム細胞や、fibroblast様の紡錘形細胞が血球由来かどうかを明らかにする。発症機序を明らかにすることで、今後治療モデルの開発を目標に研究を進めていく。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Neoplastic fibrocytes play an essential role in bone marrow fibrosis in Jak2V617F-induced primary myelofibrosis mice.2020

    • 著者名/発表者名
      Yoshinori Ozono, Kotaro Shide, Takuro Kameda, Ayako Kamiunten, Yuki Tahira, Masaaki Sekine, Keiichi Akizuki, Kenichi Nakamura, Hisayoshi Iwakiri, Mitsue Sueta, Tmonori Hidaka, Yoko Kubuki, Shojiro Yamamoto, Satoru Hasuike, Akira Sawaguchi, Kenji Nagata, Kazuya Shimoda
    • 雑誌名

      Leukemia

      巻: 36巻 ページ: 454-467

    • DOI

      10.1038/s41375-020-0880-3

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Calreticulin haploinsufficiency augments stem cell activity and is required for onset of myeloproliferative neoplasms in mice2020

    • 著者名/発表者名
      Kotaro Shide, Takuro Kameda, Ayako Kamiunten, Yoshinori Ozono, Yuki Tahira, Takako Yokomizo-Nakano, Sho Kubota, Masaya Ono, Kazuhiko Ikeda, Masaaki Sekine, Keiichi Akizuki, Kenichi Nakamura, Tomonori Hidaka, Yoko Kubuki, Hisayoshi Iwakiri, Satoru Hasuike, Kenji Nagata, Goro Sashida, Kazuya Shimoda
    • 雑誌名

      Blood

      巻: 136巻 ページ: 106-118

    • DOI

      10.1182/blood.2019003358

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] マウスモデルにおいてJak2V617F 変異によって誘導される骨髄増殖性腫瘍に伴う腎障害2020

    • 著者名/発表者名
      田平優貴、幣光太郎、大園芳範、上運天綾子、亀田拓郎、秋月渓一、関根雅明、日高智徳、久冨木庸子、下田和哉
    • 学会等名
      第82 回日本血液学会学術集会
  • [学会発表] JAK2V617F による炎症性サイトカインIL1αの産生亢進メカニズム2020

    • 著者名/発表者名
      幣光太郎、上運天綾子、大園芳範、亀田拓郎、田平優貴、秋月渓一、関根雅明、日高智徳、久冨木庸子、下田和哉
    • 学会等名
      第82 回日本血液学会学術集会
  • [学会発表] 骨髄増殖性腫瘍におけるSRSF2,U2AF1,IDH 変異の頻度と予後への影響2020

    • 著者名/発表者名
      小川紗葵、幣光太郎、上運天綾子、久冨木庸子、竹内正美、末永孝生、下村泰三、鈴島仁、河野徳明、山下清、安見正人、烏野隆博、今滝修、門脇則光、米澤昭仁、大塚英一、日高智徳、亀田拓郎、秋月渓一、関根雅明、田平優貴、下田和哉
    • 学会等名
      第82 回日本血液学会学術集会

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公開日: 2021-12-27  

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