研究課題
小児急性骨髄性白血病(AML)は分子生物学的異常と治療反応性をもとにして層別化治療が行われ長期生存率は60-70%まで上昇してきたが、その予後は未だ良好とは言えない。近年、AMLに対してもDNAメチル化が新たなバイオマーカーとして注目され始めている。我々は小児AMLにおけるDNAメチル化パターンと臨床像、分子生物学的背景、予後との関係を明らかにするために、AML-05臨床試験に登録された64例に対してDNAメチル化解析を施行した。その結果64例の小児AMLはDNAメチル化パターンにより4つのクラスターに分類することができ、それぞれのクラスターはRUNX1-RUNX1T1融合遺伝子やCEBPA遺伝子変異などといった分子生物学的背景と強い相関を示した。更に4群のうち高メチル化で特徴づけられたクラスターは、低メチル化で特徴づけられたクラスターに比較して有意に予後不良であった。また、AMLで予後不良の遺伝子異常とされているFLT3-ITDについて、DNAメチル化で予後不良の群と予後良好の群の二つのグループに分類することができた。これらの結果について申請者らは2021年の日本血液学会で報告を行った(大和ら、小児急性骨髄性白血病における全ゲノムDNAメチル化解析 -The JCCG-JPLSG AML-05 study-、第83回日本血液学会)。その後転写因子結合部位解析(TF解析)、ATACシーケンスなどの解析結果を加え、申請者らは2022年にBlood advances誌にその結果を報告した(Yamato G., Genome-wide DNA methylation analysis in pediatric acute myeloid leukemia. Blood adv.2022;6:3207-3219)。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Blood Adv.
巻: 6 ページ: 3207-3219
10.1182/bloodadvances.2021005381.