ループス腎炎において糸球体管内細胞増多病変とワイヤーループ病変は代表的な腎病理学的病変である。既存のモデルではこれらの病変は同時に出現するため、各病変を形成する各々の病態は十分検討されていなかった。本研究では、各病変を個別に再現するモデルを用いて、各病変におけるケモカイン・ケモカイン受容体の関与と、その治療ターゲットとしての有効性を明らかにすることを目的とした。 MRL/lprマウスより作成した腎炎原性モノクローナルIgG3産生ハイブリドーマを野生型マウスに投与すると、クローン2B11.3は管内細胞増多病変、B1はワイヤーループ病変をそれぞれ個別に形成した。リアルタイム定量PCR法と免疫蛍光染色法では、管内細胞増多病変はワイヤーループ病変よりCCL2、CCL3、CCR2、CCR5、CX3CR1の発現が亢進していた。二重免疫蛍光染色では、管内細胞増多病変に浸潤したマクロファージがこれらのケモカイン・ケモカイン受容体を発現していた。クローン2B11.3を投与したCCR5欠損マウスとCCR2欠損マウスでは、管内細胞増多病変・糸球体マクロファージ浸潤・血清BUN値が改善したが、CCR2欠損マウスではワイヤーループ病変を形成した。CX3CR1欠損マウスでは病変の改善は認めなかった。一方、クローンB1を各ケモカイン受容体欠損マウスに投与すると、野生型マウスと同様にワイヤーループ病変を形成した。選択的CCR5阻害薬のマラビロクは2B11.3を投与した野生型マウスの腎病変と腎機能を改善した。 これらの結果より、CCR5とCCR2は管内細胞増多病変の形成に関与しており、特にCCR5の阻害は管内細胞増多病変の治療ターゲットとなりうることを示した。
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