研究課題
目的:急性冠症候群(ACS)は全身性エリテマトーデス (SLE)の主要な予後規定因子であるが、古典的な動脈硬化危険因子のみでは発症リスクが説明されない。一般に動脈硬化の進展やプラークの破綻に炎症が関与するとされるが、申請者らはSLEにおいて診断時の疾患活動性と虚血性心筋障害の関連を見出した。本研究では、SLEコホート患者に対し、非侵襲的にハイリスクプラークを検出可能な冠動脈CTと高速冠動脈プラークMRIを用いた最新の3Dプラーク定量を行い、SLEにおける虚血性心疾患のハイリスク群を明らかにし、さらに動脈硬化に関与するSLEの病態を解明することを目指す。進捗状況:研究1年目は、2010年から2020年に冠動脈CTもしくは高速冠動脈プラークMRIを撮影されたSLE患者のハイリスクプラークを3Dプラーク定量で評価した。その結果、国外の既報と比較し冠動脈CTにおけるハイリスクプラーク (LAP: low attenuation plaque) のprevalenceは低かった。そのため、一般にLAPよりさらにprevalenceが低いMRIにおけるハイリスクプラーク(HIP: high intensity plaque) の短期間の追跡よりも、冠動脈CTでの冠動脈周囲脂肪の炎症(PCAT解析)がハイリスク群の同定と動脈硬化に関与するSLEの病態解明につながると考え、次年度の研究の推進方策を定めた。
3: やや遅れている
当該年度の研究計画としていた冠動脈CTもしくは高速冠動脈プラークMRIによるSLE患者のハイリスクプラークを3Dプラーク定量で評価した。その結果、ハイリスクプラークのprevalenceの低さから症例の追跡に多くの時間を要することになることが判明した。そのため現在は冠動脈CTでの冠動脈周囲脂肪(PCAT解析)ならびにその他バイオマーカー探索を行っていく方針としたため、やや遅れている。
今後の研究については、当該年度の研究結果をふまえ、SLE患者の冠動脈周囲脂肪解析(PCAT解析)を行う。まず自己免疫疾患の併存のない冠動脈CT施行例を対象としてSLE患者の冠動脈周囲脂肪の炎症を解析する。またSLEの疾患活動性と冠動脈周囲脂肪の炎症の関連を解析する。
血清IFN-α活性を含む血清を用いた動脈硬化バイオマーカーの測定は条件検討に時間を要したこと、また検体間での測定誤差をへらすため次年度に一括しての実施を予定するため次年度へ繰り越すこととした。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
PLOS ONE
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