研究課題
全身性エリテマトーデス (SLE) における、好中球に主に発現しているPeptidylarginine deiminase 4 (PAD4) の役割に関して検討を行った。Toll like receptor 7 アゴニストのImiquimod (IMQ) を耳朶塗布することによって誘導されるSLEモデルマウスを使用し、Padi4欠損マウス (Padi4 KOマウス) において好中球の腎臓への浸潤が減少し、腎炎が改善することを示した。加えて、好中球移入実験においても、Padi4 KOマウス由来の好中球は腎臓への浸潤が低下し、Padi4 KOマウス由来の好中球で、ループス腎炎と関連が知られている好中球接着分子のICAM-1へのIn vitroでの接着低下を示した。マウス骨髄由来の好中球トランスクリプトーム解析の結果、Padi4 KOマウス由来の好中球においてp38 mitogen-activated protein kinase (MAPK) 経路の活性化が抑制され、p38 MAPK経路の足場タンパクであるJNK-associated leucine zipper protein (JLP) 産生が抑制されることで、好中球の腎臓への浸潤が抑制されることが想定された。以上の結果から、ループス腎炎において、好中球におけるPAD4-JLP-p38 MAPK経路の制御が新規治療標的となる可能性が示唆され、同研究内容に関して論文での報告を行った。
2: おおむね順調に進展している
Imiquimod耳朶塗布により誘発するループスモデルマウスを用いたPAD4の研究は、当初予定していた実現可能なマウス実験は終了し、論文作成を行った。現在はマウスモデルで得られた結果のSLE患者における妥当性等も含め、ヒトSLEに関しての検証を行っている。
マウスモデルで得られた知見に関して、SLE患者における血清サンプルや末梢血トランスクリプトームデータ等を用い、ヒトSLEでの結果の妥当性、好中球の他免疫細胞に与える影響に関して検証を行い、論文発表をめざす。
COVID-19の流行により学会の現地開催が中止となったため、出張旅費の残額が発生した。引き続き今年度の出張旅費として必要額の使用を予定する。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件)
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