研究実績の概要 |
SLEモデルMRL/lprマウスの脾臓CD4+T細胞の網羅的エピゲノムライブラリーを作成し解析した結果、S1pr1の発現低下とともに、その遺伝子を標的とするmicro RNA 223-3p (Mir223)の発現亢進を見いだした。 S1pr1-3'UTRをサブクローニングしたpmirGLO dual luciferase miRNA Target expression vectorをトランスフェクションしたヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)でのルシフェラーゼ活性はmiR-223-3p mimicによって抑制された.また miR-223-3p mimicはEL4 mouse T cell line(EL4)のS1pr1発現を有意に減少させた. Mir223 knockout lupus-prone mice (Mir223-/-Faslpr/lpr)を作成し, 44 週齢での表現型の差異を解析したところ, Mir223-/-Faslpr/lprでは, Mir223+/+Faslpr/lprに比較し, 脾臓CD4+T細胞のS1pr1が有意に増加し, その糸球体への浸潤を有意に認め、尿蛋白および糸球体スコアの増悪傾向を認めた. 以上の結果から、Mir223欠損は標的遺伝子であるS1pr1の発現を上昇させ、リンパ球の炎症臓器への浸潤を促進することでループス腎炎を悪化させた。ループス腎炎においてMir223の発現亢進は代償的にループス腎炎悪化を抑制する役割を果たすことが示唆された。
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