研究実績の概要 |
1) AAVの維持療法期における血清マーカーのELISA定量解析 治療6ヶ月後に寛解達成したANCA関連血管炎患者(AAV, n=45)における6ヶ月時のTIMP-1値は、治療6~18ヶ月に再燃もしくはスロイド減量困難の患者群で寛解維持群よりも有意に高値であった。また、寛解維持療法中のAAV30名における経時的な血清TIMP-1定量解析で、再燃群のTIMP-1値は寛解維持群と比較し、再燃時、再燃3および6ヶ月前で有意に高値であった。両解析より血清TIMP-1値は寛解維持予測および再燃予測に有用なマーカーとなることが示唆された。 2) ANCA関連血管炎モデルマウス誘発のための抗MPO抗体の作成 MPO欠損マウスにMPOで免疫し、抗MPO抗体の産生を確認した。我々が既に作製したCD93欠損マウスと野生型マウスにAAVを誘発するために必要な抗MPO抗体の抗体量を得るため、MPOを免疫した複数のMPO欠損マウスの血清から抗体精製用カラムを用いてIgGを単離した。 3) 大型血管炎における新規活動性マーカーのELISA定量解析 当院の大型血管炎患者(高安動脈炎(TAK)7名, 巨細胞性動脈炎(GCA)10名)において、治療開始前、治療6ヶ月および12ヶ月後の血清TIMP-1とIL-6を測定した。治療前のTIMP-1値は、健常人よりも有意に高値であり、それぞれのカットオフ値(TAK 169ng/mL、GCA 191ng/mL)においてAUC 1.0(感度100%、特異度100%)、AUC 0.93(感度80%、特異度100%)をもって健常人と判別できた。血清TIMP-1値は治療前と比較し、治療6および12ヶ月後に有意に低下し、トシリズマブ投与下でも疾患活動性を反映した。一方、IL-6値も治療6ヶ月後に有意に低下を認めたが、トシリズマブ投与下では活動性と関連せず上昇する症例を認めた。
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