特発性多中心性キャッスルマン病(idiopathic multicentric Castleman's disease: iMCD)の病型の違いに着目してTAFRO徴候を伴うより重篤な病態である iMCD-TAFROとそれ以外の病型であるiMCD-NOS(iMCD-not otherwise specified)の分子学的な差異について検討した。当院でiMCDと診断された4名(iMCD- NOS: 2名、iMCD-TAFRO: 2名)の末梢血からCD4陽性T細胞を単離し、RNAシーケンスを行った。iMCD-NOSと比較して、iMCD-TAFRO患者ではmTOR関連シグナルが亢進していた。これまでiMCD-TAFROについては、活動期にmTOR経路の活性化の報告があったが、iMCD-NOSとiMCD-TAFROを比較した報告はなかった。今回の検討でiMCD- NOSと比較してiMCD-TAFROにおいて、よりmTOR経路の活性化を認めることが示され、病態・臨床像の違いに寄与している可能性が示された。さらに、昨年までの研究結果より、病型による違いが示唆される血清蛋白であるIGFBP-1について、症例数を増やして、自己免疫疾患であるSLE、関節リウマチも含めて検討した。iMCD-TAFRO:6名、iMCD-NOS:13名、健常対照者28名、ループス腎炎を有するSLE患者12名、ループス腎炎を有しないSLE患者5名、関節リウマチ患者16名において治療前の血清IGFBP-1レベルをELISA法で測定した。血清IGFBP-1レベルは、iMCD-NOS、iMCD-TAFRO、およびループス腎炎を有するSLE患者で健常対照者に比べて有意に高値であり、iMCD-NOSと比較してiMCD-TAFROで有意に高値であった。
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