研究課題/領域番号 |
20K17445
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
清水 俊匡 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (40770467)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | シェーグレン症候群 / TLR7 |
研究実績の概要 |
シェーグレン症候群(SS)の唾液腺上皮細胞に対してToll-like receptor(TLR)7のリガンド刺激で、I型インターフェロン活性シグナルに加え、MHC class Iの発現増強、またシェーグレン症候群の自己抗原の一つであるRo52の発現増強をウェスタンブロットで確認した。また免疫細胞染色でも唾液腺上皮細胞中で同様にこれらの発現増強を認めた。また実際のSS症例の唾液腺組織の導管上皮においても発現増強を認めた。抗原提示細胞に発現するMHC class Iを介して抗原ペプチドはT細胞等の免疫細胞に抗原提示され、免疫応答が活性化される。上記結果よりTLR7シグナル活性が自己抗原の発現増強を引き起こし、加えて抗原提示による免疫活性を引き起こすことを考慮し、検討をすすめた。 TLR7刺激で抗原提示をすすめるか確認するため、抗原ペプチドがMHC class Iと結合する際に必要なMHC classⅠ peptide-loading complex(PLC)の形成を認める確認した。その結果、唾液腺上皮細胞において、TLR7刺激後にPLCの発現増強を認めた。SSの唾液腺上皮細胞においてTLR7刺激前後にMHC class Iと結合するタンパクに関しての解析をすすめたところ、TLR刺激後において、Ro52の発現増強を認めた。またTLR7刺激後のSSの唾液腺上皮細胞においてMHC class Iと結合するペプチドのうちRo52と関連するペプチドが存在するか液体クロマトグラフィー/質量分析を用いて解析をすすめている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染による診療制限の影響もあり、唾液腺検体数が減少しており、下流シグナル発現の検討が十分に行えておらず、遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
収集できた唾液腺組織を用い、MHC class Iと結合するペプチド候補を検討する。加えて、TLR7刺激によるNF-κB経路の活性、また浸潤細胞であるB細胞中のTLR7シグナル活性の検討をおこなっていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染による診療制限の影響もあり、口唇生検件数が減り唾液腺検体数が減少したため、唾液腺検体を用いた検討が遅滞した。またマウスを用いた実験を行えておらず、唾液腺検体の検討に用いる抗体やマウスに関する実験物品の購入を見送った。次年度も口唇生検を進めていき、関連する抗体試薬、物品の購入をおこなう。
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