シェーグレン症候群(SS)の唾液腺上皮細胞に対してToll-like receptor(TLR)7のリガンド刺激で、I型インターフェロン活性シグナルに加え、MHC class Iの発現増強、またシェーグレン症候群の自己抗原の一つであるRo52の発現増強をウェスタンブロットで確認した。また免疫細胞染色でも唾液腺上皮細胞中で同様にこれらの発現増強を認めた。また実際のSS症例の唾液腺組織の導管上皮においても発現増強を認めた。抗原提示細胞に発現するMHC class Iを介して抗原ペプチドはT 細胞等の免疫細胞に抗原提示され、免疫応答が活性化される。上記結果よりTLR7シグナル活性が自己抗原の発現増強を引き起こし、加えて抗原提示による免疫活性を引き起こすことを考慮し、検討をすすめた。 TLR7刺激で抗原提示をすすめるか確認するため、抗原ペプチドがMHC class Iと結合する際に必要なMHC classI peptide-loading complex(PLC)の形成を認めるかどうかを確認した。その結果、唾液腺上皮細胞において、TLR7刺激後にPLCの発現増強を認めた。SSの唾液腺組織の導管上皮でもPLCの発現増強を認めた。SSの唾液腺上皮細胞においてTLR7刺激後においてSSにみられる自己抗体の一つである抗SS-A/Ro抗体の対応抗原であるRo52の発現増強を認めた。このRo52は唾液腺上皮細胞中MHC class Iで免疫沈降して得られた蛋白ライセート中でもTLR7刺激後発現増強していた。 唾液腺上皮細胞中のTLR7のノックアウトをCRISPR-Cas9をおこない試みたが、ノックアウトできず断念した。
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