Melanoma differential gene 5 (MDA5)に対する特異的自己抗体が陽性の皮膚筋炎は、治療抵抗性の急速進行性間質性肺疾患(rapidly progressive interstitial lung disease; RP-ILD)を高頻度に合併する。本研究において、我々はこの自己抗体の対応抗原であるMDA5の発現様式に着目しており、抗MDA5抗体陽性皮膚筋炎に伴うRP-ILDの発症機構を解明することを目的として実験を進めている。 2021年度はマウスの急性肺傷害モデルとして、前年に行ったリポポリサッカライドに加え、PolyI:Cや塩酸などその他の薬剤の気管内投与によるモデルも作成し、肺に浸潤する炎症細胞におけるMDA5のRNAレベルおよび蛋白レベルでの発現亢進の確認を行った。また、肺胞洗浄液中にもMDA5が検出されることをELISAを用いて確認した。以上より、様々な機序による急性肺傷害において浸潤した炎症細胞が産生するMDA5が、細胞外に放出されている可能性が示唆された。 現在、ヒトでの検証として各種疾患におけるMDA5の発現についてRNA-seqライブラリなどを用いた解析、末梢血好中球および白血病細胞株HL-60を用いたIn vitroの実験を行い、MDA5が抗原として細胞外に提示されるメカニズムについて検討を進めている。 今後、抗MDA5抗体を保有するマウスを作成し、MDA55に対する抗原抗体反応がRP-ILDの病態形成に関与するかについての解析も行う予定である。
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