最終的に4年間で治療抵抗性RA 6例(予定では10例、定義:2剤以上の生物学的製剤に不応で中等度以上の疾患活動性が残存している。)に加え、典型的なRA 3例(予定では10例、定義:未治療、抗CCP抗体陽性例)をコントロール群とし、その他の関節炎合わせて、計18名程度をリクルートし、超音波ガイド下滑膜生検法により新鮮な滑膜を採取した。2020年2月以降、COVID-19パンデミックに際しその臨床、およびCOVID-19のワクチンや免疫病態に関わる研究に従事したため、研究進捗の遅れが発生してしまったが、最終年度である2023年度は10件の関節エコーガイド下滑膜生検を実施した。一般的な病理学的解析、免疫組織学的解析に加え、解析途中ではあるがCyTOFシステムを用いたマスサイトメトリーによる詳細な細胞サブセット解析、シングルセルのRNAシーケンシングによる遺伝子発現の網羅的解析を行い、現時点では解析の途中段階であるものの、治療抵抗性関節リウマチ患者や、高齢発症関節リウマチの症例に特徴的な滑膜浸潤細胞サブセットが見出され、現在報告準備中である。今後この知見をもとに、再現性を確認するため、症例数を増やすためことを目的とした多施設共同研究の計画、実行する予定である。今後も本研究を継続し、同時に採取した末梢血解析、採取可能であれば関節液、採血データ、臨床画像などの臨床情報と組み合わせることにより、治療抵抗性RAの病態を明らかにし、最終的に治療アルゴリズムを確立する。
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