研究課題/領域番号 |
20K17454
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
細野 祐司 東海大学, 医学部, 講師 (60868090)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自己抗体 / 免疫沈降法 |
研究実績の概要 |
今年度は、東海大学リウマチ内科を受診した膠原病疾患症例および健常コントロール群の血清を同意の上で集積を行った。延べ400検体数を集積した。集積した血清を用いて、[35S]メチオニン標識したHeK細胞を用いた蛋白免疫沈降法によって既知および新規自己抗体の検出を行った。今年度の補助金は、主に上記の研究を遂行するための試薬・放射性物質の購入費に充てられた。 1.抗MDA5(melanoma differentiation-associated gene 5)抗体陽性症例における再燃症例について、経時的な抗体検出を行い、寛解期にいったんは抗MDA5抗体が陰転化するものの、再燃症状の顕在化に先立って陽転化することが判明した。従来病勢の指標として血清フェリチン値やKL-6値が用いられていたが、今回の結果によって、従来の指標が正常範囲内に留まる一方で再燃に先立って抗MDA5抗体価が最も早期に上昇を示し、経時的な抗MDA5抗体価の測定が有用であることが示された。本成果は2020年度アメリカリウマチ学会総会および日本リウマチ学会総会にて発表された。 2.多発性筋炎・皮膚筋炎における抗PSIP-1抗体の有用性 抗PC4 and SFRS1 interacting protein-1(PSIP-1)抗体は従来の報告では膠原病疾患と比較して健常群により多いとされ、本抗体陽性を持って膠原病を除外可能とする報告まである。免疫沈降法により70kDa付近に沈降を認め、蛋白解析によって対応抗原がPSIP-1であることが判明した。リコンビナントタンパク質を用いたELISA法によって膠原病および健常コントロール群の本抗体陽性率を比較したところ筋炎群で27.6%(健常群7.3%)と高頻度で陽性であった。 本結果をもとに、現在病的意義について検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2020年度は東海大学リウマチ内科を受診した膠原病疾患症例および健常コントロール群の血清を同意の上で集積を順調に実施しており、採取した血清を用いて順次新規自己抗体の検出および臨床的意義について検討を行っている。現在複数の未知の自己抗体検出を行っており、対応抗原蛋白の抽出を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
新規自己抗体陽性症例の血清確保および対応蛋白の同定をMALDI-TOF/TOF質量分析計を用いて鋭意実施する方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
対象症例の検体集積が年度末に重なったことから次年度使用額が生じたが、試薬消費や研究の進捗は順調であり使用計画に大きな支障はないと考える。 次年度使用予定額45,444円および令和3年度予算により、放射性物質[35S]methionine、リコンビナントタンパク質、抗ヒト抗体および試薬の購入を計画している。
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