研究実績の概要 |
強皮症皮膚線維芽細胞および強皮症モデルマウスに対するアプレミラストの線維化抑制作用についての検討を引き続き行なっており、今年度は昨年度までの実験で足りない点を補うとともに、データを論文発表できるような形でまとめた。具体的には、強皮症皮膚線維芽細胞からのI型コラーゲンや細胞外マトリックスの酸性、ブレオマイシン誘導皮膚硬化モデルマウスを用いた皮膚硬化の改善、αSMA陽性筋線維芽細胞数や、CD3陽性細胞、マクロファージ発現数が、アプレミラストによる治療でどのように変化するかについて、実験データをまとめ、現在論文投稿中である。今年度もコロナ禍ということもあり、積極的な学会発表ができなかった。また、我々のプロジェクトについても、皮膚硬化だけでなく、肺線維症もPDE阻害薬の治療ターゲットとして有望と考えられたが、実際にPDE4B阻害薬の特発性肺線維症患者に対する有効性が報告された(Richeldi L, et al., NEJM, 2022)。我々も、肺線維症モデルに対するPDE阻害薬の線維化抑制作用が検討できないか予備実験を開始し、ブレオマイシン肺線維症モデルマウスを用いて肺線維症を再現することができた。今後はPDE4のみにとどまらず他の PDEについても検証を行うとともに、強皮症患者の最大の予後規定因子となる肺線維症に対するPDE阻害薬の有効性、線維化抑制作用という点についても検証をすすめていく。
|