Human herpesvirus-6(HHV-6)は、けいれん発作や脳炎などに関わるDNAウイルスである。このHHV-6 がヒトゲノムに組み込まれ(Chromosomally integrated HHV-6:CIHHV-6)人口の約1%が保持している事が分かっている。通常は病原性が無いと認識されているが、研究者らは、以前このCIHHV-6が免疫不全患者の体内で活性化し病原性を有する事をウイルス学的および分子生物学的に確認し報告した。しかし詳細な活性化機構は解明されておらず、またHHV-6が組み込まれる機構も未解明である。本研究では、これらの機構の解明を目指している。これまでCIHHV-6患者さんの臨床情報および臨床試料の収集を行った。本邦の免疫不全レジストリを構築し、その中からCIHHV-6患者を同定し、患者及び家族に同意を取得し、臨床試料および臨床情報を収集した。この免疫不全症レジストリに関しては、これまでの経過をまとめ報告した。またHHV-6を含んだ、主に免疫不全者に病原性を呈するウイルスの網羅的な検出を施行し、レジストリ上の臨床情報と検出されたウイルスから興味深い知見が得られ、これらについても報告した。特に研究期間中はCOVID-19の社会的影響が大きかったため、それらの研究に協力した。私達の経験したCIHHV-6 症例は単一遺伝子由来の免疫不全患者で活性化が見られたことから、該当遺伝子が活性化機構に必須の遺伝子であるかどうか、患者検体より不死化細胞株を樹立し、該当遺伝子をノックダウンする系の立ち上げを検討した。また活性化がみられる試料において、細胞腫ごとに発現の亢進している遺伝子を同定するためsinglecellRNA-seqでの網羅的な遺伝子発現解析を行う系を検討した。
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