研究課題
βラクタム系薬はその高い安全性から、たとえ従来の基準で薬剤耐性と判断された病原体においても、抗菌作用が得られる濃度を安定して推移させることで、治療効果が得られる可能性がある。本研究ではtherapeutic drug monitoring(TDM)により、βラクタム系薬の濃度を有効濃度域で確実に推移させることにより、その治療成績及び安全性を評価することである。2023年度の実績以下に示す。・血液透析療法における薬物濃度測定法の確立:血液透析療法は、βラクタム系薬であるメロペネムの血中濃度を下げるが、様々な実施条件で行われる血液透析療法における低下の程度を予測する手段が確立されていなかった。この課題に対して、総括物質移動-面積係数(KoA)による予測手段を考案し、血液透析回路モデル、および臨床研究により、メロペネムとバンコマイシンについて検討したところ、有意な予測性能を認めた。・発熱性好中球減少症患者におけるセフェピムの投与設計方法の確立:この課題に対して、前向き臨床研究により血中濃度測定、薬物動態解析により解決を試みた。16人を組み入れた解析した結果、セフェピムを高用量投与すべき患者について、クレアチニンクリアランス(腎機能の指標)のカットオフ値として80.2 mL/minを明らかにした。・持続血液ろ過透析療法施行時のメロペネムの投与設計方法の確立:本課題に対して、前向き臨床研究により血中濃度測定、薬物動態解析により解決を試みた。29名の患者を組み入れて解析した結果、最小発育阻止濃度(MIC)を評価の上、1回 0.75g, 8時間毎投与が推奨されることを明らかにした。上記成果を踏まえ、2020年度から2023年度にかけて、βラクタム系薬の効果を最大化する投与設計法の確立に貢献した。
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