研究課題/領域番号 |
20K17483
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大崎 芳典 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10844821)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | HMG-CoA還元酵素 / スタチン / 横紋筋融解症 / 骨格筋 / ミオパチー / Rab |
研究実績の概要 |
2020年度はまず,ドキシサイクリン誘導により骨格筋特異的にHMGCRをノックアウトするマウスの解析によりin vivoにおいて骨格筋障害に先行して変化する代謝産物Aを確認した. また,in vitroでのスクリーニング実験系を構築するために,まずC2C12細胞に代謝産物Aに反応して変化するセンサーを作成し組み込み,さらにこの細胞に,Crisper-Cas9システムおよびSony SH800によるSingle cell sortingを用いて,Rosa26およびHMGCRのKO cell-lineを構築した. 作成した各種Rab small G proteinのsiRNAが,C2C12細胞において蛋白質レベルで概ね7-8割のノックダウン効率を持つことを確認した. C2C12を基にした上記のcell-lineにおいて,各種Rab small G proteinのsiRNAを作用させ,Rab small G proteinのノックダウンを行い,代謝産物Aの値の各サンプルでの平均値の差が,対照群であるRosa26-KO群とHMGCR-KO群で有意差がなくなるRab small G proteinをスクリーニング陽性として検出をすすめている. 現時点では後述するCovid19の影響により若干研究の遂行実績に遅延があるものの,スクリーニング対象のRabの1/3程度が完了した時点で1つのスクリーニング陽性Rab small G proteinを検出している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験手技の習得や実験そのものは当初予定の計画通りに進んでいたが,Covid-19の予想外の流行拡大に伴い,所属機関の附属病院の業務範囲内において,Covid-19感染患者の診療に従事する必要が発生し,これに伴い当初の予定より1.5ヶ月程度の研究業務の遂行遅延が発生していると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は上述のRab small-G proteinのsiRNAライブラリによるスクリーニングの完了とその実験結果の再現性を確認し,スクリーニングによって見出された筋障害に深く関与すると推定されるRab small-G proteinを,AAVを用いてノックダウンすることにより骨格筋特異的HMGCRノックアウトマウスの筋障害が改善できることまで確認することを一つ目の目標としている.また,予測どおりの結果が得られた際には,当該Rab small-G proteinのノックアウトマウスを作成し,骨格筋特異的HMGCRノックアウトマウスとかけあわせえることで,その筋障害が改善することを確認する.あわせて,細胞内小胞輸送のどの部分の障害が筋障害,ひいては骨格筋の維持に重要かを明らかにしていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額が生じた理由としては,先に述べた研究計画の遂行に若干の遅延が発生している事由と同様で,Covid-19の予想外の流行拡大に伴い,所属機関の附属病院において,Covid-19感染患者の診療に一部従事する必要性が発生し,その際に研究の遂行に若干の遅延が生じ,その分の試薬や研究機材の購入がなかったこと,および人の密集する地域や会場への移動に制限をかける必要が生じ出張の機会が減少したことに起因しております.2021年度はワクチン接種の進行に伴い予定通りの研究計画の遂行を見込んでいるほか,2020年度の遅延分の作業の完了も予定しており,これに伴い当該「次年度使用額」を試薬や実験機材の購入に充当させて頂く予定です.
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