研究課題/領域番号 |
20K17485
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
木下 大輔 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (50868635)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 遺伝性早老症ウェルナー症候群 / 老化 / 老化関連分泌表現型SASP / 内臓脂肪蓄積 / 耐糖能異常 |
研究実績の概要 |
2020年度はウェルナー症候群iPS細胞由来脂肪細胞およびウェルナー症候群患者由来脂肪培養細胞の老化形質の確認を行った。これらの細胞は、SA-βGal陽性で、p16、p21などの老化マーカーを発現することや炎症性サイトカインが上昇することが示され、再現性良く老化形質を発現することが明らかとなった。患者由来脂肪培養細胞(stromal vascular fraction: SVF)においては、健常者に比して早期に細胞増殖停止を来すことや、テロメア長の短縮も確認できた。 また、これらの細胞の遺伝子発現プロファイルをRNA-seq解析により調べたところ、細胞接着・細胞外マトリックス・細胞周期・細胞分裂・炎症性サイトカインに関わる遺伝子発現の挙動の変化を認めた。新規遺伝子・シグナルを解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記載した通り、ウェルナー症候群iPS細胞由来脂肪細胞およびウェルナー症候群患者由来脂肪培養細胞が再現性良く老化形質を発現することを確認できた。また、RNA-seq解析によって、前述の細胞の遺伝子発現プロファイルを網羅的に調べ、挙動の変化する遺伝子を同定した。このように、当初の計画に従って研究を遂行できたと考えるため。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、ウェルナー症候群iPS細胞由来脂肪細胞あるいはiPS由来間葉系幹細胞の形質をin vivoで検討する目的で、これらの細胞をiPS細胞から誘導し、生体膜素材のデバイスに搭載して、高脂肪食で耐糖能異常を誘発したマウスに皮下移植し、体重や耐糖能の変化を評価する。また、一定期間後に移植した細胞とともに、肝臓・脂肪組織・血液も回収して解析することで、環境因子との相互作用によるウェルナー症候群細胞の変化、ならびに生体にもたらす影響を解析する。 一方、In vitroの検討では、患者由来の、脂肪由来幹細胞を含有する間質細胞群(SVF)を脂肪分化させ、脂肪蓄積や老化形質の程度の更なる変化がないかを検討する。 このような実験により、ウェルナー症候群の間葉系幹細胞組織に集積する老化のメカニズムを明らかにする。
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