研究課題/領域番号 |
20K17488
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
柳町 剛司 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (20596275)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | グルカゴン / オキシントモジュリン |
研究実績の概要 |
これまでに申請者は、グルカゴンがDPP-4及びNeprilycin(NEP)によって不活化されるが、オキシントモジュリン(OXM)はNEPによって不活化されないことを確認している。OXMはN末端から29個のアミノ酸配列がグルカゴンと同じで、C末端側に8個のアミノ酸が延長した37個のアミノ酸から成るホルモンで、グルカゴンと非常に類似した構造を有する。そこで、このOXMがNEP存在下ではどのような影響を受けているのかについて、LC-MS/MSを用いて詳細な検討を行った。 まず最初にNEP存在下でのグルカゴンのLC-MS/MSを行った。NEP存在下でグルカゴンは大きく3つのピークが確認され、そのうちの1つを更に詳細に分析すると、3つのピークが確認され、NEPによってグルカゴンは計5つの分解産物が存在することが明らかになった。OXMもグルカゴンと同様にNEP存在下での検討を行うと、大きなピークが1つのみ確認できた。更に分析すると、分子量が184.12減少したペプチドに変換されたことが明らかとなった。OXMがNEPによって生成されるペプチドの構造を推定すると、OXM(1-37)のC末端側の2つのアミノ酸が欠失したOXM(1-35)が生成されることが推定された。そこでOXM(1-35)を合成し、LC-MS/MSで確認すると、NEP存在下でのOXM(1-37)の分解産物と、合成したOXM(1-35)のピークが一致することを確認した。 OXMはグルカゴン/GLP-1のdual agonistであるとの報告があるため、OXM(1-35)の受容体活性をin vitroで確認すると、OXM(1-35)はOXM(1-37)とほぼ同等のグルカゴン及ぶGLP-1受容体活性を有していた。今後はin vivoでOXM(1-35)がどのような生理作用を有しているのか検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験施設で蟯虫・原虫感染が報告され、動物実験施設へのアクセスが制限されているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後はOXM(1-37)の分解産物であるOXM(1-35)をマウスに投与し、耐糖能をはじめとした全身の代謝に及ぼす影響を評価・検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は他の研究助成金も使用可能であったことや、LC-MS/MSが当初の想定より解析がスムーズに行えたため、今年度の当該助成金に余りが生じた。 来年度は今年度と同様物品費への使用に加え、英文校正、論文投稿料・掲載料に使用する予定である。
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