これまでマウス卵巣の網羅的な遺伝子発現解析から、老化卵巣でhCG応答とともに間質・莢膜細胞層のアルドケト還元酵素1B7(AKR1B7)の顕著な低下を見出していた。AKR1B7を欠損させた若齢マウス卵巣はどのような異常が生じるか解析したところ、RNA-seq解析から脂質合成に異常があることが推測され、実際にリン脂質量やAKT活性の低下を認めた。またリン脂質をリガンドとするSF1の下流遺伝子で発現低下が認められ、下流のプロゲステロン代謝酵素CYP17A1の低下とプロゲステロン 血中濃度増加、さらに性周期の延長を認めた。以上、AKR1B7低下が引き起こす脂質異常が卵巣老化進行に関与すると考えられた。
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