研究課題
アルドステロン産生腺腫 (Aldosterone Producing Adenoma; APA)における臓器障害頻度は高率であるが、手術により根治可能であるため適切な診断・治療が必須であり、簡便な診断法の確立が望まれている。従来、APAは均一な代謝特性を有する腫瘍と考えられてきたが、近年の研究から多様な代謝特性を有することが明らかになってきた。しかしながら、APAが有する代謝特性における多様性の分子機構および臨床的な意義は明らかでない。本研究では、APAの代謝特性に着目し、血液のメタボローム解析と組織の統合オミクス解析を用いて多様性の成因となる病態の解明および臨床的意義を明らかにすることを目的とした。免疫組織染色及びRNA-seq解析において、コルチゾール産生腫瘍と同様にコルチゾール合成関連酵素の発現がAPAで確認された。イメージング質量顕微鏡によりコルチゾール合成細胞の局在を検討したところ、腫瘍内において不均一な合成が確認され、代謝特性における機能的不均一性が示唆された。次いで、機械学習を用いたAPAの診断予測モデルの確立を進めた。「教師あり学習」の1つであるランダムフォレスト法を用いて、かかりつけ医レベルで測定可能な18種類の検査項目において、血中ナトリウム、カリウム、アルドステロンの3項目のみでAPAを高率(精度89%)で診断可能なモデルを開発した(Sci. Rep. 11: e9140, 2021)。また、機械学習モデルを説明可能とするShapley Valuesを用いることにより、APA患者の術後予後の可視化に成功し(Sci Rep. 12:5781, 2022)、機械学習の臨床医学への応用を推進した。現在、血液検体によるステロイド中間代謝産物を含めた網羅的ステロイドミクス解析に基づく予測モデルの構築を機械学習を用いて進めており、APA診断精度の改善が期待される。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 9件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 2件)
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