研究課題/領域番号 |
20K17497
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
北川 功幸 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (50866241)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | T細胞受容体(TCR) / 抗グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD) 65抗体 / シングルセルV (D) Jシークエンス |
研究実績の概要 |
申請者らのグループで実施している大規模糖尿病患者コホートからHLA-DR4かつ抗GAD65抗体陽性1型糖尿病症例7例(ターゲット群)、HLA-DR4かつ抗GAD65抗体陰性・抗GAD67抗体陰性2型糖尿病症例3例(コントロール群)を選出、ヒト末梢血単核球(Human PBMC)の採取、保存。シングルセルV (D) Jシークエンスを継続している。対象患者の末梢血より分離した単核球をBD Rhapsodyシングルセル解析システムにより単一細胞化し、VDJシークエンス用アプリケーションを用いて分子バーコード化cDNAライブラリーを作成。作成したcDNAはイルミナ社製次世代シークエンサーによりFASTQを得る。得られたFASTQはBDパイプラインによりクラウドでマッピングの上、リードカウント情報を得てデータマトリックスを作成。TCR配列の多様性(レパトア)解析については、公的データベースを用い、リファレンス配列との相同性解析によるV領域、D領域、J領域遺伝子の同定、アミノ酸配列変換、CDR3配列の抽出、リード数集計を実施し、各群で比較し、抗GAD抗体陽性1型糖尿病群においては継時的変化も確認。これにより、抗GAD抗体陽性1型糖尿病においてクローン増殖を起こしているV領域、D領域、J領域遺伝子を同定し、同定された配列の出現、増減といった微小な変化を継時的に捉えることができる。 第64回日本糖尿病学会年次学術集会で発表:2020年度は、並行して、ヒト末梢血単核球を用いたEx VIVO実験として、ヒト自然リンパ球 (ILC)の分裂増殖に対する脂肪酸の関係評価を行った。ヒト末梢血から、セルソーターを用いて、ヒトILCを分離した。分離したヒトILCを用いて、OP9-DL1細胞共培養環境におけるEx VIVOでの培養実験を行い、脂肪酸がヒトILC(ILC2)の増殖に及ぼす影響を検証した。ヒトILC2の増殖に、IL-33が必要であった。ラウリン酸がヒトILC(ILC2)の増殖を抑制する一方、パルミチン酸が増殖に保護的に作用することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者らのグループで実施している大規模糖尿病患者コホートからHLA-DR4かつ抗GAD65抗体陽性1型糖尿病症例7例(ターゲット群)、HLA-DR4かつ抗GAD65抗体陰性・抗GAD67抗体陰性2型糖尿病症例3例(コントロール群)を選出、ヒト末梢血単核球(Human PBMC)の採取、保存を行った。2020年9月よりシングルセルシークエンスの実験手法を確立、進行中である。今後は、さらに、ex VIVO assayによる実験継続が必要である。2021年度は、ヒト化マウスにPBMCを移入する実験を予定している。PBMCは保存済み。
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今後の研究の推進方策 |
GAD反応性TCRの同定のため、シングルセルV (D) Jシークエンスを継続している。BD Rhapsodyで4例解析中であり、2021年7月ごろに結果が判明する予定である。 今後は、GAD反応性T細胞とGAD65を用いたex VIVO assay、自己反応性T細胞・自己抗原・ヒト化マウスを用いたin VIVO assayによる検証を予定している。最終的にそれらの結果を統合的に解釈し、本研究で提案する仮説を検証する。なお、研究が当初予定通り進まなかった場合も、日本人1型糖尿病でのシングルセルV(D)Jシークエンス・ProtoArrayは世界初の試みであり、論文等にまとめて報告する。
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