研究実績の概要 |
マウスやヒトでいくつかの間欠絶食プロトコルの効果が検討され, 減量ならびに耐糖能改善に間欠絶食が有用である可能性が報告されている. 間欠絶食の効果は全身に及び, 脳, 心臓・血管, 肝臓・膵臓腸管, 脂肪組織, 骨格筋など, 全身組織における細胞代謝の変化と, 組織リモデリング・機能改善をもたらす可能性が示されている. そのメカニズムとして低インスリン, 低IGF-1, ケトン体上昇の効果, AMP/ATP, NAD/NADH, AcCoA/CoAの増加などの代謝変化とAMPK, PGC1α, Akt, FOXOなどのシグナル経路の関与が報告されている. 令和4年度の研究では, 間欠絶食に伴う骨格筋脂肪燃焼遺伝子群のヒストンアセチル化の変化を検討した. 野生型マウスに72時間の間欠絶食と96時間の自由摂食を繰り返す72時間間欠絶食(72hIF)を4週間反復した. 骨格筋を回収して, ミトコンドリア活性化ならびに脂肪燃焼に関与する遺伝子のヒストンアセチル化を検討した. 遺伝子発現亢進との相関が知られている, プロモータ領域のヒストンアセチル化を調べたところ, 脱共役タンパクUCP3と甲状腺ホルモン変換酵素DiO2等の発現亢進と, プロモータ領域ヒストンアセチル化の亢進を認めた. さらに, 培養骨格筋細胞C2C12を用いた検討で, 絶食に伴う筋肉分解で著増するアミノ酸であるロイシンが, プロモータ領域のヒストンアセチル化に関与する可能性を見出した.
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