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2020 年度 実施状況報告書

膵β細胞における細胞内代謝変化に着目した糖尿病病態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K17503
研究機関北海道大学

研究代表者

野本 博司  北海道大学, 大学病院, 助教 (50862330)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード細胞内代謝 / 糖尿病 / 膵β細胞
研究実績の概要

糖尿病の病態を理解するうえで、インスリンを分泌する膵β細胞の機能障害の機序を解明することは重要である。申請者らは糖尿病状態において、膵β細胞の細胞内エネルギー代謝が酸化的リン酸化から解糖系へとシフトする、細胞内代謝変化(代謝リモデリング)に着目した検討を行っている。この代謝変化には、膵島におけるHIF1αと解糖系酵素PFKFB3の発現亢進が密接に関与していることを明らかとしたが、具体的にどのようなストレス因子がこのような変化を引き起こすのかは未知の部分が多く、代謝リモデリングを予防しうるのか、可塑性があるのかは不明である。
申請者らは膵β細胞株・単離膵島を用いた解析において、高ブドウ糖環境が解糖系酵素PFKFB3の発現上昇を介した代謝リモデリングを惹起し、ブドウ糖濃度を低下させることにより代謝リモデリングが是正されることを見出した。更に肥満糖尿病モデル動物を用いて週数別に膵島の代謝変化を、Western Blot法ならびに膵切片の免疫染色により検討したところ、体重と血糖値の上昇とともに代謝リモデリングが進行し、体重・血糖値の抑制により部分的に是正されることを明らかとなった。
さらにこのような代謝変化が実際の日本人糖尿病患者の膵島においても生じているかを、剖検膵のパラフィン包埋切片を用いて検討している。現在までに解析した予定症例数の約半数の検討では、日本人2型糖尿病では非糖尿病と比し、有意に膵β細胞のPFKFB3陽性細胞率が高いことを見出している。しかしPFKFB3陽性細胞率は個々の症例によって大きく異なっており、症例数を蓄積するとともにどのような患者要因がこのような変化を引き起こしているのかについても明らかとしていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

膵β細胞株・単離膵島を用いた検討において、まずは高血糖刺激の関与があることが明らかとなったため、肥満糖尿病モデルマウスを用いたin vivoの検討に進んでいる。これらの検討の進捗を総合的に判断しつつ、その他の膵β細胞ストレス因子の影響の探求に進んでいく予定である。剖検膵を用いた検討は、主要評価項目について全症例の約半数の解析が済んでおり、予定通りの進行である。

今後の研究の推進方策

上述のとおりおおむね予定通りに進行しており、現在の解析を引き続き進めていく。細胞実験については、まずは肥満高血糖の関与に着目した検討を先行させ、進捗を総合的に判断しつつその他のストレス因子の関与の解析に進む予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 欧米人2型糖尿病膵島ではHIF1α/PFKFB3経路が活性化することで膵島内代謝が解糖系へとシフトする2020

    • 著者名/発表者名
      野本博司,Slavica Tudzarova,Lina Pei,Chiara Montemurro,Tatyana Gurlo,Peter C. Butler,中村昭伸,渥美達也
    • 学会等名
      第63回日本糖尿病学会年次学術集会

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公開日: 2021-12-27  

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