本研究では、NCEH1欠損マクロファージに25-HCを添加することで、小胞体内25-HC esterが蓄積し、アポトーシスを引き起こすことを明らかとした。この際、25-HCのアポトーシス誘導機序として既に報告されていたGCN2/eIF2α/ATF4経路は活性化されず、PERK/eIF2α/ATF4経路が活性化されることでアポトーシスが誘発されていた。また、25-HC添加時の変動タンパクとしてマクロファージの細胞機能に関わるGalectin-3や泡沫化に関与するCathepsin D が発現増加することを明らかとした。また、PERK/eIF2α/ATF4経路の更なる上流分子の解析を行うにあたり、オキシステロールの小胞体センサーを担うOxysterol binding protein (OSBPL)5/8の解析を行った。OSBPL5/8をsiRNAにてノックダウンし、PERK/eIF2α/ATF4経路およびアポトーシスへの影響を検証したが、これらは抑制されなかった。以上の結果から、細胞内25-HC ester蓄積が誘発するアポトーシス誘導メカニズムは小胞体センサーのOSBPLを介さずにPERK/eIF2α/ATF4経路を活性化してアポトーシスを引き起こすことが考えられた。
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