研究実績の概要 |
バセドウ病の罹患割合は200-1000人に1人程度と頻度の高い自己免疫疾患の一つである。治療法には簡便な薬物治療が主流となっている。しかし、薬物治療で長期寛解が得られる症例(寛解群)は半分以下にとどまり、残りは寛解に至らず、再燃を繰り返す(難治性群)ため臨床上の問題となっている。現在までに多くの探索研究が行われているが、バセドウ病の再燃を予測できる確かな方法はなく、難治性や寛解などの病勢を予測する新規バイオマーカーの同定が望まれている。 近年の研究で血液中エクソソームにmiRNAsが安定に存在することが示された。血中エクソソームmiRNAsは、侵襲性も低く、高い感度・特異度を有するなどバイオマーカーとして有用な特徴が多くある。実際、この数年間で癌を中心として多くの疾患や病態により変動する有望な血中miRNAsが同定されている。これまでにオミックス的な手法によりバセドウ病の血清miRNAsが健常人と異なることを明らかにした(Clinical Endocrinology 2014;81:276-81, Thyroid. 2016 Oct;26(10):1431-1440.)。 本研究ではバセドウ患者を継時的にフォローアップし、血液中エクソソームと寛解・増悪等の病態や治療経過などとの関連を明らかにすることを目指している。寛解・増悪等の各種病態から血清サンプルを取得し、エクソソームを抽出・精製した。現在、抽出したエクソソームの機能解析をおこなっている。特に、免疫細胞に及ぼす影響を明らかにするための評価方法を確立した。
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