研究課題
バセドウ病の罹患割合は200-1000人に1人程度と頻度の高い自己免疫疾患の一つである。治療法には簡便な薬物治療が主流となっている。しかし、薬物治療で長期寛解が得られる症例(寛解群)は半分以下にとどまり、残りは寛解に至らず、再燃を繰り返すため臨床上の問題となっている。現在までに多くの探索研究が行われているが、バセドウ病の再燃を予測できる確かな方法はなく、難治性や寛解などの病勢を予測する新規バイオマーカーの同定が望まれている。近年の研究で血液中エクソソームにmiRNAsが安定に存在することが示された。血中エクソームmiRNAsは、侵襲性も低く、高い感度・特異度を有するなどバイオマーカーとして有用な特徴が多くある。実際、この数年間で癌を中心として多くの疾患や病態により変動する有望な血中miRNAsが同定されている。これまでにオミックス的な手法によりバセドウ病の血清miRNAsが健常人と異なることを明らかにした。本研究ではバセドウ患者を継時的にフォローアップし、血液中エクソソームと寛解・増悪等の病態や治療経過などとの関連を明らかにするための研究を継続している。また、抽出したエクソソームの機能解析をおこなっている。これまでに免疫細胞に及ぼす影響を明らかにするための評価方法を確立した。バセドウ病の血液エクソソームは炎症性のサイトカインの産生能を促進すること明らかとした。また、寛解・増悪等の各種病態においても、サイトカイン産生能に及ぼす影響は異なることを明らかにした。バセドウ病の病態形成に血中エクソソームが関与していることが示唆された。また、血中エクソソームが免疫抑制能のあたえる影響を評価したところ、免疫抑制能に影響を及ぼすことを明らかにした。以上の結果から、バセドウ病の病態にエクソソームが関与することが示唆された。
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