我々は甲状腺ホルモン結合蛋白μクリスタリン(CRYM)を研究する中で、CRYM欠損が肥満を呈することを見出してきました。もともと甲状腺ホルモンの低下は脂肪沈着や脂肪肝といった代謝の低下を起こすことが知られており、CRYMの肥満の機序はホルモンの影響と考えられていました。しかし、今回の研究でCRYMの肥満の機序の一部が甲状腺ホルモンに関連しない事実が得られました。現時点でCRYMと直接関連した肥満の経路の解明には至れていませんが、CRYMが甲状腺ホルモンを介さない独自の肥満機序があることが示唆され、新規の肥満機序の解明、肥満症の発展につながる可能性を示唆しています。
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