2型糖尿病モデルdb/dbマウスにSGLT2阻害薬を早期から投与した群と後期から投与した群では膵β細胞量が有意に異なり、早期から投与した方が明らかに膵β細胞量は維持されていた。これは、早期から投与することによってエピジェネティック制御が関与していると考えられ、各群のマウス膵島における遺伝子発現解析をマイクロアレイ解析で行い、またエピジェネティック修飾解析を網羅的DNAメチル化解析で検討した。マイクロアレイ解析で遺伝子発現が亢進し、DNAメチル化が低下している遺伝子群を20個抽出し、それらに関しての特異的なプライマーを用いて個別に遺伝子発現解析を行った。性腺特異的に発現している分子を除外し、膵島やMIN6細胞で有意に発現している遺伝子の発現量をリアルタイムPCRで評価した。その結果、4つの分子が有意に発現増加していることが明らかとなった。そのうち、SGLT2早期投与群で有意に発現が亢進している分子として、Cdh24とBegainが抽出された。これまでに、これら両分子の膵島における役割についての報告は為されておらず、今後はcDNAクローニングによる過剰発現実験、ならびにsiRNAによるノックダウン実験で機能解析を行う予定である。さらに、Bisulfite sequenceによって各分子のプロモーター領域におけるDNAメチル化解析を行い、SGLT2阻害薬の早期投与が膵β細胞に及ぼす影響の全容解明を目指す。
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