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2021 年度 実施状況報告書

ゴナドトロピン分泌へのRNA結合タンパクZFP36の役割について

研究課題

研究課題/領域番号 20K17536
研究機関岡山大学

研究代表者

寺坂 友博  岡山大学, 大学病院, 助教 (80721935)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワードゴナドトロープ細胞 / 下垂体 / RNA結合タンパク / ZFP36 / mRNA代謝 / ルシフェラーゼレポーターアッセイ
研究実績の概要

下垂体ゴナドトロープモデルであるLβT2細胞では、GnRHの高頻度パルス状刺激によりZFP36の発現および産生が増加することが示された。そして、今回in vitroの実験にて、5分間の短時間(パルス状)GnRH刺激により60分をピークとしてZFP36の一過性発現を認めることがわかった。
ZFP36過剰発現株では定量RT-PCR法によりGnRHによるIEGであるEgr1の発現誘導が抑制され、3’UTRにAREを有するGnrhrの発現もELAVL1ノックダウン細胞と同様にコントロールと比較して低下した。さらに、ウェスタンブロッティング法にてGnRHの刺激によるEGR1の産生がZFP36高発現株では減少することが示された。これらのことについて、2021年度に第94回日本内分泌学会学術総会および第47回日本神経内分泌学会学術集会で発表した。
CRISPR-Cas9システムを用い、セルソーティングをおこなったZFP36ノックアウトLβT2株(ZFP36-KO LβT2)を作製し、Lhbの発現が著明に上昇することが確認された。
さらに我々は、RNA結合タンパクZFP36がGnrhrおよびEgr1のmRNA-3’UTRに直接結合することにより発現制御を行うことを証明するため、Gnrhr, Egr1の3’UTRを有したルシフェラーゼレポータープラスミドを作出した。これらのプラスミドを用いZFP36高発現株にトランスフェクションし、ルシフェラーゼアッセイを行ったところ、GnrhrおよびEgr1(そしてZfp36)の3’UTRを有したプラスミドのルシフェラーゼ活性の低下をみとめ、つまり、これらの3’UTRを有したmRNAの発現量の低下が証明された。
この結果より、ZFP36の発現がGnrhrおよびEgr1のmRNAに直接結合することによりGnrhrおよびEgr1の発現制御を行うことがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初ZFP36抗体によりRNA-IPにてRNAの結合量を検討する予定であり、研究を進めていたが、前年度の報告にもあるようにRNA結合量の多少もしくは引き続いて起こるRNA分解作用により十分な量のRNAが得られなかったため、違う手法を選択することとなった。
すなわち、AREを有したゴナドトロピン関連mRNAの3’UTRサイトのクローニングを済ませ、ルシフェラーゼレポータープラスミドpGL3(Promega)にサブクローニングして、ZFP36のmRNAに結合する作用について検討をおこなった。AREを有した3’UTR配列をもったpGL3を前述のpVXコントロール株とZFP36高発現株にトランスフェクションし、それぞれの株におけるルシフェラーゼ活性を対比することで、ZFP36の直接的なmRNAの分解作用、すなわちGnRHにより誘導されるZFP36のmRNA代謝効果について検討した。さらにGnrhr, Egr1の3’UTR領域のどのARE配列がZFP36の結合に最も重要か判断するため、ARE配列間で切断し短縮したレポータープラスミドを作製し、ルシフェラーゼ活性を対比する予定である。
しかし、臨床業務でCOVID-19対応に割く時間も捻出しなければならず、予定通りには研究を進めることはできていない。

今後の研究の推進方策

ZFP36がゴナドトロープ細胞における細胞シグナルの制御およびゴナドトロピン関連遺伝子の発現に影響することがわかったため、今後はin vivoにおける間脳視床下部からの律動的なGnRH刺激による下垂体の反応を再現できるin vitro GnRHパルス発生装置を用い、ZFP36過剰発現株およびノックアウト株におけるゴナドトロピン分泌動態の変化の有無を検討する。また、哺乳類(マウス)においてゴナドトロープにおけるZFp36の発現がLH/FSHの分泌制御の要となるかゴナドトロープ特異的ZFP36条件付きノックアウトマウス(Gnrhr-Cre×ZFP36-flox)を用意するため岡山大学組換えDNA実験計画書を作成し提出中である(受付番号: G-2788)。雌マウスのコントロールマウスと比較した性周期の変化、繁殖能力の有無、GnRH刺激によるゴナドトロピン分泌の反応性の変化を検討する。

次年度使用額が生じた理由

当該年度にゴナドトロピン分泌量の検討を行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の患者対応を長期間にわたり行うこととなり、研究が目標点まで進まなかった。
次年度に進める予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] ゴナドトロープLβT2細胞におけるGnRH刺激ZFP36発現のPKC-MAPK-ERKパスウェイの関与とゴナドトロピン発現調節機構について2021

    • 著者名/発表者名
      寺坂友博、藤澤 諭、西山悠紀、森本栄作、小松原基志、原 孝行、越智可奈子、Mark A. Lawson、稲垣兼一、和田 淳
    • 学会等名
      第94回 日本内分泌学会学術総会
  • [学会発表] ゴナドトロープLβT2細胞におけるGnRH刺激ZFP36発現のPKC-MAPK-ERKパスウェイの関与とゴナドトロピン発現調節機構について2021

    • 著者名/発表者名
      宮崎貴裕、寺坂友博、藤澤 諭、伊藤慶彦、森本栄作、原 孝行、Mark A. Lawson、稲垣兼一、和田 淳
    • 学会等名
      第47回日本神経内分泌学会学術集会

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公開日: 2022-12-28  

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