研究課題/領域番号 |
20K17543
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
門脇 聡 順天堂大学, 医学部, 助教 (00869224)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | やせ / サルコペニア / インスリン抵抗性 / インスリン分泌低下 / 骨粗鬆症 / 境界型糖尿病 |
研究実績の概要 |
対象は閉経後1年以上経過した健常な50-64歳の女性で、BMIが16.0から18.5kg/㎡未満のやせ群を97名、18.5-23kg/㎡までの標準体重群55名を測定した。評価項目として、代謝機能として75gOGTT検査、筋肉量や骨量はインピーダンス法とDEXA法で測定した。体力測定としては、エルゴメーターでVO2peakの測定、握力計で握力の測定、Biodexで筋力を測定した。その他、血中アミノ酸濃度バランスや腸内細菌測定、各種アンケートを実施した。結果は、平均年齢は56.7歳、身長はやせ群で高く、BMIは17.6kg/㎡とやせ群で低かったが、標準群においてもBMI20.8kg/㎡と低い傾向であった。75gOGTT検査では、空腹時インスリン値はやせ群で低く、マツダインデックスはやせ群で有意に高い結果であった。また、やせ群では身長や体重、BMIは低かったが、DEXAで測定した体脂肪量、筋肉量も低く、四肢の筋肉を身長の2乗で除したASM(Appendicular Skeletal Muscle Mass)も平均5.5㎏/㎡と低かった。握力やバイオデックスで測った利き脚の膝伸展筋力、VO2peakに有意な差は認めなかった。しかしながら、筋力、筋量をサルコペニア基準に当てはめてみると、痩せ群97人中、握力18kg未満の人が11%、DEXAでの筋肉量でASMが5.4kg/m2未満の人が37%存在し、サルコペニアに該当する人は8%と標準群(1%)に比べてやせ群で有意に高い割合であった。また、やせ群では41%が骨粗鬆症に該当し、やせ群で骨粗鬆症群、非骨粗鬆群を比較すると、体重やBMIに差はないにもかかわらず、筋肉量、筋力共に骨粗鬆症群で低下しており、筋肉量の低下と骨粗鬆症は相関していた。結果として、痩せた中高年女性で、osteosarcopenia(骨粗鬆症を合併したサルコペニア)を多く認め、痩せの中でもより低体重で体脂肪率が高いという特徴を有していた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
被検者のリクルートが予定より早く完了したため。また上記結果に加えて、Insulinogenic indexは境界型糖尿病群で有意に低く(p<0.001)、Disposition indexも有意に低い結果(p<0.001)が得られたため。
|
今後の研究の推進方策 |
中高年低体重女性において、Insulinogenic indexは境界型糖尿病群で有意に低く(p<0.001)、Disposition indexも有意に低い結果(p<0.001)であった。このことは境界型糖尿病群では正常耐糖能群と比較して糖尿病家族歴が多いことが考えられた。今後、遺伝子多型の解析が検討される。また腸内細菌やアミノ酸や栄養摂取状況等、より細かく糖代謝異常の関連を検討している。
|