研究課題
本研究ではプロラクチン産生下垂体腫瘍(PRLoma)の発生に関する特異的な遺伝子の解明を行い、腫瘍発生メカニズムの解明ならびに新規薬剤治療法の開発の基礎となす知見を得ることを目的としている。そのためには研究試料として、ヒトPRLomaの検体ならびに、対照群としてヒト正常下垂体が必要である。ただし、PRLomaに対する第一選択はドパミン作動薬による薬物療法であり、手術に至る症例は少ないため検体入手は容易ではない。また、正常下垂体に関しては、正常下垂体より深部に発生した腫瘍に対してアプローチするためにやむなく正常下垂体を半分のみ切除(これによる機能低下は認めないとされる)せざるを得なかった症例に限るため、同じく検体入手は容易ではない。しかしながら、これまでにPRLoma群、正常下垂体群とも3例以上の検体が入手できたため、次世代シーケンサーによる遺伝子の網羅的解析を試みた。その結果として、PRLoma群で有意に発現上昇している遺伝子を約1000個ほど確認し、更にIPA(Ingenuity Pathway Analysis)解析を行い複数の候補遺伝子に絞った。候補遺伝子について、ラットPRLoma腫瘍細胞株を用いて機能解析を行うべく画策したが、PRLの測定法の確立に時間を要し、また、遺伝子から発現されるタンパク由来の薬剤を投与しPRL分泌反応を調べる実験系の確立に難渋したため、研究機関内に機能解析まで完遂できなかった。ただし、過去の研究で、手術前に薬物投与せずに手術に至った腫瘍検体を用いて解析したことは新規性があり、今回の研究の総括としては、その検体を用いてPRLoma候補遺伝子を探索したというところまででまとめ、国際医学雑誌に報告予定である。
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Journal of Nippon Medical School
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ACTA HISTOCHEMICA ET CYTOCHEMICA
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