研究課題/領域番号 |
20K17546
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
藤好 真人 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (90844720)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 無虚血肝移植 / 機械灌流 / 虚血再灌流傷害 / 胆管傷害 |
研究実績の概要 |
これまで我々は、本研究の中心となるラットischemia-free liver transplantation (IFLT)モデルの構築を行なってきた。ラット肝臓に対して、脾静脈および肝静脈ー下大静脈をそれぞれ流入系および流出系とする灌流路を臓器摘出前にドナー体内で構築するドナー術式と、in vivo machine perfusion下にレシピエント体内で血管再建を行うことによりグラフト灌流を血液再灌流まで持続する肝移植術式を構築し、これにnormothermic machine perfusion (NMP)による体外機械灌流保存を組み込み、本研究における実験プロトコルに従った実験手術を行なったところ、レシピエントラットの短期生存は得られるものの、長期生存は得られなかった。 そのため、ラットIFLTモデルのトラブルシューティングを進めている。短期生存後に死亡したレシピエントラットに関して解析を行うと、問題点として肝実質の虚血再灌流傷害所見と血管内皮傷害が挙げられた。 まず、肝実質の虚血再灌流傷害の原因と考えられるNMPの条件検討を行うことして、機械灌流による虚血再灌流傷害が軽度なコントロールとして、機械灌流形式を、灌流温度を4ー10℃とするhypothermic oxygenated machine perfusion (HOPE)に変更した。 血管内皮傷害の原因としては、門脈および下大静脈内カテーテルによる機械的傷害と静脈ドレナージにおける過度の陰圧が考えられたため、灌流およびドレナージカテーテルの変更とドレナージ系の吸引圧コントロールの改善を図った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究における動物実験モデルは技術的要求が非常に高く、安定した長期生存を得るための改良に時間を要しているため。
|
今後の研究の推進方策 |
機械灌流にHOPEを用いたラットIFLTモデルにおける安定したレシピエントラットの長期生存を達成するための技術的評価と問題点の改善は現在も継続中であり、これを達成する移植技術および灌流システムの確立を行う。 その後HOPEからNMPに切り替え、灌流条件の検討を行い、本研究の動物実験モデルを完成させる。 その上で、IFLTと持続的NMPによる胆管保護効果を検証する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
動物実験モデルにおけるレシピエントマウスの移植成績の安定化に時間を要しており、研究の進捗が遅れているため次年度使用額が生じた。今年度行うことができなかった、胆道系傷害に関する解析のための研究予算は次年度使用予定である。
|