乳癌臨床検体を用いたホルモン治療耐性メカニズムの解明

2021 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 20K17549
• 研究機関: 京都大学
• 研究代表者: 川口 展子 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (60771540)
• 研究期間 (年度): 2020-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: 乳がん / ホルモン療法抵抗性

研究実績の概要

乳癌の罹患数は国内で年間9万人と報告されている。そのうちホルモン受容体陽性・HER2（Human Epidermal Growth Factor Receptor2）陰性の乳癌（HR(+)HER2(-)乳癌）は7割近くを占め、術後ホルモン療法の施行で予後は概ね良好である。しかし、早期再発や10年以上経過してからの晩期再発もあり、HR(+)HER2(-)乳癌は不均一と考えられる。そこで申請者は、治療の最適化を目指し、ホルモン療法の治療抵抗症例の予測と治療抵抗メカニズムの解明を目的として、術前ホルモン療法の臨床試験の検体と臨床情報を用いて解析を行う。治療抵抗メカニズムが解明できれば、治療前に薬物治療応答性を予測した最適な治療の
提供、また治療抵抗性を打破する新規治療法の開発が可能となる。
昨年度はパイロットスタディとしてバンキングサンプルを用い、検討対象とする蛋白について免疫染色の条件検討を行った。今年度は当グループでバンキングされている検体のうち、手術前にホルモン治療が行われていた8例について治療前後の各タンパクの発現変化について考察し、オックスフォード大学の共同研究者と意見交換を行った。それに基づき、術前ホルモン療法の臨床試験の検体と臨床情報を踏まえ、解析計画を再検討している。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

共同研究先のオックスフォード大学がCOVID19のため、研究所が一時的に閉鎖されるなどしたため。

今後の研究の推進方策

COVID19の影響で英国で進捗が難しくなった部分については学内で共同研究先を探し、研究を進めている。

次年度使用額が生じた理由

参加予定であった学会や共同研究先への訪問費用がCOVID19で使用されなかった。
次年度以降の参加経費や研究促進のための費用として使用する予定である。

研究成果

• [国際共同研究] オックスフォード大学(英国)
  • 国名: 英国
  • 外国機関名: オックスフォード大学
• [雑誌論文] Optimization of prediction methods for risk assessment of pathogenic germline variants in the Japanese population (2021)
  • 著者名/発表者名: Senda Noriko、Kawaguchi‐Sakita Nobuko et al
  • 雑誌名: Cancer Science 巻: 112 ページ: 3338～3348
  • DOI: 10.1111/cas.14986
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] HBOC Pharmacotherapy (2022)
  • 著者名/発表者名: Nobuko Kawaguchi-Sakita
  • 学会等名: Best of SABCS Kyoto 2022
  • 国際学会 / 招待講演
• [学会発表] The prediction of pathogenic germline variants in Japanese breast cancer patients (2021)
  • 著者名/発表者名: Noriko Senda, Nobuko Kawaguchi-Sakita, Yukiko Inagaki-Kawata, Wakako Tsuji, Tatsushi Kato, Hirofumi Suwa, Shingo Sakata, Mitsuru Tanaka, Takashi Okino, Norimichi Kan, Sayaka Honda, Hiromi Murakami, Takahiro Yamada,Shinji Kosugi, Masahiro Sugimoto, Seishi Ogawa, Masakazu Toi.
  • 学会等名: 第18回日本臨床腫瘍学会学術集会
• [学会発表] Prediction of pathogenic germline variant carriers in breast cancer patients at genetic counseling (2021)
  • 著者名/発表者名: Noriko Senda, Nobuko Kawaguchi-Sakita, Yukiko Inagaki-Kawata, Hiromi Murakami, Takahiro Yamada, Shinji Kosugi, Masakazu Toi.
  • 学会等名: 日本人類遺伝学会 第65回大会
• [学会発表] 1995例の乳癌症例の生殖細胞系列の解析においてPTENの病 的バリアントを認めた4例 (2021)
  • 著者名/発表者名: 岩野 由季、川口 展子、仙田 典子、稲垣 有希子、髙田 正泰、 鳥井 雅恵、川島 雅央、河口 浩介、鈴木 栄治、村上 裕美、 本田 明夏、山田 崇弘、吉田 健一、高原 祥子、岡村 隆仁、 小杉 眞司、小川 誠司、戸井 雅和
  • 学会等名: 第29回日本乳癌学会学術総会 2021
• [学会発表] HER ２陰性再発・転移乳癌におけるコンパニオン診断において BRCA1/2変異と診断された13例 (2021)
  • 著者名/発表者名: 何 佳曦、川口 展子、戸井 雅和、鈴木 栄治、髙田 正泰、 川島 雅央、松本 純明、山田 崇弘、河口 浩介、稲垣 有希子、 仙田 典子、中川 梨恵、中村 有輝、樋上 明音、藤野 真琴
  • 学会等名: 第29回日本乳癌学会学術総会 2021
• [学会発表] BRCA2 遺伝性乳癌における病的バリアントによる臨床的特徴 の違い (2021)
  • 著者名/発表者名: 藤野 麻琴、川口 展子、仙田 典子、稲垣 有希子、何 佳曦、 樋上 明音、中川 梨恵、中村 有輝、河口 浩介、高田 正泰、 川島 雅央、鈴木 栄治、山田 崇弘、小杉 眞司、小川 誠司、 山神 和彦、露木 茂、岡村 隆仁、戸井 雅和
  • 学会等名: 第29回日本乳癌学会学術総会 2021