研究課題/領域番号 |
20K17555
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
藤井 喬之 香川大学, 医学部, 助教 (00746696)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 腸管不全合併肝障害 / 短腸症候群 / 腸内細菌 / 腸肝軸 / 短鎖脂肪酸 / 食物繊維 |
研究実績の概要 |
6週齢のC57BL/6マウスをコントロール群、肝障害モデル:Liver injury (LI)群、LI/PHGG群(5%のPHGGを添加)に分けた(各n=6)。実験開始から17日目にサクリファイスした。肝障害を病理組織学的に評価するためoil red O染色と抗TNF-α抗体による免疫染色を行った。腸内細菌叢の変化を評価するため、実験開始前の便と、17日目の回腸内容物を採取して16S rRNAメタゲノム解析を行った。腸内細菌叢のパターンをPCoAで解析し、細菌叢の群間比較のためLEfSe解析を行った。さらに便中SCFA(乳酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸)を高速液体クロマトグラフ法で測定した。 LI群はコントロール群に比べて有意に肝臓の脂肪蓄積を認めた。しかし、この脂肪蓄積はPHGGの投与でLI群より有意に減少した。また、PN群では偽胆管の増生が見られ、コントロール群に比べて有意にTNF-α陽性細胞の増加を認めた。腸内細菌のPCoA解析ではPHGG群は他の2群に比べて大きな変化が見られた。LEfSe解析ではPHGGの投与でParabacteroides とEnterobacteriaceaeが有意に増加していた。PHGG投与によるSCFAの増加は見られなかった。 PHGGはマウス肝障害モデルにおいて肝保護作用を示した。しかし、SCFAの増加は認めず、SCFAを介さない機序での肝保護効果があると推測された。Parabacteroidesには抗炎症効果、抗腫瘍効果が知られており、肝障害の軽減に寄与した可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝障害モデルを用いてPHGGの肝保護効果と腸内細菌叢の変化の解析を行うことが出来た。今後は腸管粘膜に与える影響に関して解析を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
肝障害モデルを用いてPHGGの腸管粘膜に与える影響を総合的に解析する。具体的には絨毛高の増大、陰窩の深さといった形態学的評価に加え、組織スコアを用いて小腸上皮の変性を評価する。また、CD45による免疫染色を行い炎症性細胞浸潤の程度を評価する。さらに腸管内洗浄液を採集して分泌型IgAを測定する(ELISA 法)予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は他施設に出向していたため。
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