研究課題
医師主導型治験によりPGを投与された乳がん症例の血液、腫瘍組織、健常組織、腋窩リンパ節組織を用いた。PG非投与群を対照群としてRNA Seq、WESそして蛋白解析を併施したオミックス解析を行った。組織検体はマルチサンプリングによる癌ゲノム進化研究であり、PG投与による免疫反応の変化を病理組織学的解析、マルチサイトカイン解析、免疫に関する包括的遺伝子発現解析を行った。その結果PGは既知のCCL2を標的とした抗腫瘍効果を示した。さらにその機序をマウス実験において免疫学的、分子生物学的手法により検討している。
2: おおむね順調に進展している
医師主導型治験では、PG投与群は対照群と比較して好中球/リンパ球比(NLR)は低下傾向でありCTLの活性化と合致した。また、PG内服により血漿中TNF-α、INF-γは上昇傾向、Th2が産生するIL-5は低下傾向であった。CD8免疫染色を施行したところ、腫瘍組織ではCD8陽性細胞浸潤の割合はPG投与群と対照群で差を認めなかった。RNA-sequenceではPG投与群でCD8、STAT1発現が上昇していた。乳癌細胞をマウスに移植しマウス実験を行った。現在免疫賦活化作用を検討するため、マウス腫瘍組織に対してCD8免疫染色を施行し、CD8陽性細胞浸潤の割合についてPG投与群と対照群で検討中である。
マウス実験において得られた腫瘍組織を用いて、PGの免疫賦活化作用を検討していく。また、上記医師主導型治験にて得られた腫瘍組織でPG投与群と対照群のCD8免疫染色を行ったところCD8陽性細胞浸潤の割合は両群差を認めなかったが、RNA-sequenceではPG投与群でCD8、STAT1発現が上昇しており、免疫応答の活性化が期待できることを改めて証明した。今後、乳がん患者の臨床検体を用いてこれの検証を行う予定である。
次年度の実験消耗品に充当予定。
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乳癌の臨床
巻: 36 ページ: 419-426
Case Reports in Oncology
巻: 14 ページ: 1261-1265
10.1159/000517854