本研究は、BAG2 遺伝子発現を抑制することにより、乳がんのホルモン治療への感受性が回復できないかと考え計画した。予備実験では、 BAG2 遺伝子高発現の患者は予後不良であり、乳がんにおける独立した予後不良因子であることが示された。さらに、ER 陽性乳がんにおいても、BAG2 遺伝子高発現の患者は予後不良であった。 上記の結果を踏まえて、症例数を増やし観察期間を延長したところ、BAG2 遺伝子発現と予後に有意差を認めず、ER 陽性症例においても同様の結果であった。また、BAG2 遺伝子発現は、カテプシンB 遺伝子発現やカスパーゼ3 遺伝子発現と仮説に一致するような相関関係を認めなかった。
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