本研究は、異種胚盤胞補完法によって、大型固形臓器である肝臓を創出し、移植可能であることを証明する初の試みである。胚盤胞補完法による肝臓再生の将来的な展開は、ブタなどの大動物の生体内を使って、ヒトに移植可能なヒト多能性幹細胞由来の肝臓を作製することである。実現するためには、ヒトと臓器サイズが合致する個体での臓器欠損動物の作製、進化的な距離の遠い種間でキメラを作出するための技術開発、医学的ニーズと生命倫理に関する議論など解決すべき課題は多いが、胚盤胞補完法によりヒトに移植可能な肝臓をはじめとする臓器を作製することが実現すれば、ドナー臓器不足という人類が抱える医療問題の一つを解消できる可能性がある。
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