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2021 年度 実施状況報告書

乾燥保存臓器の再細胞化と移植に関する研究:小口径人工血管の開発

研究課題

研究課題/領域番号 20K17569
研究機関公益財団法人田附興風会

研究代表者

石野 直明  公益財団法人田附興風会, 医学研究所 呼吸・循環研究部, 研究員 (80585133)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード臓器保存 / 脱細胞化 / 人工臓器 / 組織工学 / 再生医療
研究実績の概要

2021年度は,トレハロースを用いた臓器乾燥と低濃度界面活性剤処理もしくは超高圧処理を併用した脱細胞化スキャホールドの作製に取り組んだ.作製した脱細胞化スキャホールドへの細胞接着性を免疫染色によって評価し,足場材料としての至適環境を明らかにすることを目的とした.iPS細胞などの幹細胞研究は一定の成果を上げているが,細胞培養技術のみで一つの臓器を構築することは困難であり,実用的な人工臓器開発の目途は立っていない.生体由来の3D構造を有するスキャホールドの提供は,人工臓器開発の発展に寄与する課題である.生体に近い3D構造を有し,ECMとの相互作用を評価することのできる脱細胞化骨格は,細胞が分化・成熟するための至適環境を明らかにするために適した基盤素材といえる.種々の細胞生着試験に用いた後には,外科的手術モデルにも応用できる.ECM構造を変性させることなく長期乾燥保存できる脱細胞化臓器の開発は,一つの研究課題として意義がある.同時に,ラット腎臓を用いた臓器再生の検討も進めた.ラット腎臓をトレハロース含有処理液を用いて乾燥保存させると,吸水後も腎微細構造が温存された.本研究の手法を用いて,ラット腎臓を脱細胞化したところ,既存法で脱細胞化したものと比較して,腎微細構造が温存された.腎移植は,末期腎不全の唯一の根治療法であるが,本邦において,腎移植希望者は,約14年半という長期待機を余儀なくされている.腎臓の長期乾燥保存や再生技術は,移植腎不足の解消につながる重要な研究課題である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2019年度末頃より感染が拡大した新型コロナウイルス感染の影響で,他施設に設置されている電子顕微鏡の使用が困難になり,電子顕微鏡観察に変わる評価方法の検討に時間を要した.

今後の研究の推進方策

培養細胞の浸潤性試験や動物実験を精力的に進め,本手法の有用性を明らかにする.また,トレハロースは,外科手術時の癒着防止剤としても利用されている.本研究目的の達成と同時に,トレハロースを用いて乾燥保存した臓器を移植した際の癒着防止効果についても評価し,移植片としての有用性を評価する.

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染の影響で予定していた研究時間を十分に確保することができず,補助事業期間の延長を申請した.

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公開日: 2022-12-28  

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