研究実績の概要 |
本年度は前年度に膵癌において癌と周辺正常組織からのmRNA抽出および次世代シークエンサー(NGS)による解析結果から得られた標的遺伝子であるITGAV、ITGB1において画像解析を行った。前年度にITGAV、ITGB1に関してはRNA-seqによる発現解析とタンパク発現の相関関係を確認し、カットオフ値を設定し免疫染色(IHC)において臓癌107例で検証した。その結果ITGB1、ITGAVともに予後、再発因子となった(ITGB1: P = 0.035.0.028, ITGAV:P = 0.005,0.003)。これらを多変量解析を行った結果もP<0.05となり、独立した予後、再発規定因子となった。これら発現解析を行った107例に対して画像解析を行うべく、CTのPCAS画像から3D slicerというsoft wareを用いて腫瘍の立体画像を構築、Volume of interest (VOI) を構築し様々な画像的特徴量の抽出、および機械学習を行い、最適な特徴量選択と機械学習う手法の模索を行った。またVOIとその腫瘍辺縁領域4㎜を含むVOI+4㎜、さらにVOI+8㎜の検討も行った。結果、ITGAVにおいては1,874種類で動脈相、静脈相を含め合計3,748個の特徴量から機械学習を行い、機械学習についてはDeep neural networkやRandam Forrest, ,Regression Line, eXtreme Gradient Boosting(XGBoost)を検討し、XGBoostによる学習能が最適となり、5-Fold nested Validation という手法にてハイパーパラメータの設定と、Validationとを共におこなった。さらにVOI,VOI+4㎜,VOI+8㎜で検討を行い、最も鑑別能の高かったVOI+4㎜を採用し、結果AUC=0.697が得られた。この機械学習モデルと用いて、 予後、再発の検討を行うとそれぞれ P = 0.048, 0.128 と予後のみ予測可能なモデル構築が可能となった。より精度の高い、モデル構築のためより多数症例での検討や条件の検討を行っている。
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