研究課題/領域番号 |
20K17572
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部) |
研究代表者 |
佐田 春樹 独立行政法人国立病院機構(呉医療センター臨床研究部), その他部局等, 外科医師 (30851422)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 大腸癌 / PTEN / マウスモデル |
研究実績の概要 |
ヒト大腸癌においてPTENは約半数に蛋白質発現の低下が確認されている一方で、PTEN遺伝子変異症例に対するエビデンスの高い分子標的薬は確立されていない。ヒトPTEN欠損大腸癌に対する治療標的を探索するため、新規大腸癌マウスモデルを用いて網羅的遺伝子解析を行う。 まず、当研究室において新規大腸癌マウスモデルの繁殖・作成を行い、genotypingを行った。大腸粘膜においてApcと共にPtenをノックアウトしたマウスは、Apcのみノックアウトしたマウスと比較し、腫瘍発現が早く、腫瘍数が多く、粘膜筋板への浸潤傾向が強いことを確認した。さらに、採取した腫瘍からのPten qRT-PCRによるmRNAレベル、Ewstern blotによるPten定量においても、Ptenノックアウトマウスにおいて発現が約半数に低下していることを確認した。 Ptenノックアウトマウスの大腸腫瘍は、PI3K-PTEN-mTORシグナルがWestern blotにより亢進していることを確認したため、研究2として大腸癌マウスモデルにmTOR阻害剤(ラパマイシン)の投与を行っている。詳細な解析は少し時間を要するが、大腸腫瘍の縮小が確認でき、今後網羅的遺伝子解析を行う予定としている。 研究3として行っているヒト大腸癌から作成するオルガノイドにおいては、広島大学病院で作成した10例に加え、当施設においてももう10例追加して、マウスで得られた結果を、確認する予定である。現在等施設において保存している大腸癌サンプルのPTENの免疫染色を進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍であり、臨床研究部、または広島大学病院 動物実験施設への入所が制限されており、進行状況としては遅れている。一方で、広島大学病院 動物実験施設からマウスを移動させ、遺伝子系の確認はでき、繁殖も可能となっている。繁殖に時間を要したが、現在では研究に過不足ない倫理的側面からも許容できるマウス数を確保できている。サンプル採取も進んでおり、in vitroでの研究を本年度では主に行えるためより推進できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
大腸癌マウスモデルから必要なサンプルの採取は得られたため、本年度からはin vitroの実験が主となる。コロナ禍で動物実験施設への入所は制限され、やや遅れをとっているが、本年度は推進できると考えている。またヒト大腸癌サンプルも集積出来ており、本年度では合わせて解析に進むことができると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で実験進捗がやや遅れており、本年度に繰り越して行わせて頂きたいため。
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