最終年度は昨年度までに作成していた3次元積層用光硬化型シリコーンを用いて、市販の3Dプリンターを利用した、既存の材料と同様の設定で、積層方法を中心に着手した。結果として、研究に使用した現行の市販装置であれば、そのまま転用可能なレベルの材料であることを証明することができた。また同様の積層方法を有するデバイスであれば積層することも可能である見通しが立った。 また現行の人工肺に類似した形状を持つ3D-CADデータを含むいくつかのモデルを作成し、積層を行った。積層したデータについてはstl上では0.5㎜程度の穴の開いた1重ラティス構造を有する構造であったが、穴が充填された形状として積層される場合もあったが、材料ベースで規定される積層速度などを調整することで、十分商用可能な構造を有することを確認することができた。このとき0.5㎜は使用した市販デバイスが有する限界値付近でもあったことから、市販材料と比較しても同等以上の積層性能を有していることもわかった。今後は企業(材料開発企業)と共同研究契約に際し、長期的な締結することも含めて、申請した特許の成立に向けた事業化ベースを産学連携として開発するフェーズと、アカデミアとして次世代型の人工肺を含めて、埋植用医療機器以外にも、細胞や化学反応系など別分野への展開フェーズに分離しつつ、多角的な開発を実施していきつつ、これまでの成果を学会発表および論文化していく予定である。
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